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1章 幸せの花園
17 2人目の子供 (2)
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「ううん、こっちのお話ぃ」
黄色いとろっとしたオムレツを焼き上げながら、ノアは魔女をまっすぐと見据える。
「今の僕があるのは全て魔女さまのおかげです。魔女さまのお側にいられる限り、僕は際限なく———強くなれる」
まっすぐと放たれる言葉に、声に、魔女は眩しそうに瞳を細めた。
「そう………、お前はこのまままっすぐと育つのよ、ノア」
珍しく間延びのしていない言葉にぱちぱちと瞬きをしたノアは、にっこりと微笑む。
「言われずとも」
———僕は王子さまに相応しい人間であり続ける。
ノアの作ったオムレツにスプーンを入れた魔女は、ほかほかと湯気を立てているオムレツを口の中に入れる。
「うん。美味しいわぁ。ノアのオムレツは最高ねぇ。これでにんじんが入っていなかったらもぉっと完璧なのだけれどぉ?」
「好き嫌いはいけませんよ」
自分のお皿のにんじんを全て魔女の皿に移したノアは、にっこりと笑う。
「言っていることとやっていることが違うわよぉ?」
「そうですか?僕は魔女さまの好き嫌いをなくす特訓のお手伝いをしているだけですよ」
「………………、」
じとっと黄金の瞳に不機嫌な色を宿した魔女に睨まれても、ノアはどこか吹く風。
「———、」
ノアはそんな魔女を楽しげに眺めていたが、次の瞬間ぱっと窓の外を見つめじいっと瞳孔を細めた魔女を見て、背筋にぞぞぞっとおかんが這い上がるのを感じた。
「? 魔女さま?」
「………すこぉし、出かけてくるねぇ」
有無を言わせぬ艶やかで冷たい微笑みに、ノアは小さく頷いた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
黄色いとろっとしたオムレツを焼き上げながら、ノアは魔女をまっすぐと見据える。
「今の僕があるのは全て魔女さまのおかげです。魔女さまのお側にいられる限り、僕は際限なく———強くなれる」
まっすぐと放たれる言葉に、声に、魔女は眩しそうに瞳を細めた。
「そう………、お前はこのまままっすぐと育つのよ、ノア」
珍しく間延びのしていない言葉にぱちぱちと瞬きをしたノアは、にっこりと微笑む。
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「うん。美味しいわぁ。ノアのオムレツは最高ねぇ。これでにんじんが入っていなかったらもぉっと完璧なのだけれどぉ?」
「好き嫌いはいけませんよ」
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「言っていることとやっていることが違うわよぉ?」
「そうですか?僕は魔女さまの好き嫌いをなくす特訓のお手伝いをしているだけですよ」
「………………、」
じとっと黄金の瞳に不機嫌な色を宿した魔女に睨まれても、ノアはどこか吹く風。
「———、」
ノアはそんな魔女を楽しげに眺めていたが、次の瞬間ぱっと窓の外を見つめじいっと瞳孔を細めた魔女を見て、背筋にぞぞぞっとおかんが這い上がるのを感じた。
「? 魔女さま?」
「………すこぉし、出かけてくるねぇ」
有無を言わせぬ艶やかで冷たい微笑みに、ノアは小さく頷いた。
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