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1章 幸せの花園
16 ノアの属性 (1)
しおりを挟む「………………、」
「何も起きなかったねぇ」
すんと無表情になったノアは、大きな溜め息を吐いた。
「もう1度聴きます。僕、本当に才能あるんですか?」
「あるはずなんだけどねぇ」
「………、」
魔女の自信があるのに 断言できなくなってきている言葉に、ノアは大きな落胆を抱える。
———魔法は僕の武器にはなりえなかった、か………、
一応残りの2属性も調べておこうと、ノアは本に再び手を載せる。
「『光よ』、っ!?」
本が強い光を放ち、ノアは慌てて本から手を離した。
あまりの光の強さに目の奥がチカチカちするのを感じながら、ノアは魔女の方を見る。きらきらと表情を輝かせた魔女は、何やらぶつぶつと呟いている。
「魔女、さま………?」
「ん?あぁ、ごめんねぇ。次、一応闇も調べておこうかぁ」
「うん」
光属性を持っていることが判明したためにだいぶ精神的に解放されたノアは、のんびりとした仕草で本の上に手を置き、呪文を唱える。
「『闇よ』」
瞬間、部屋中が漆黒に染まり上がった。
上下左右前後、何もわからない真っ黒な空間。
「———は?」
パリンという軽やかな音を立ててあっという間に元いた場所に戻ってきたノアだったが、あまりにも非現実的な空間に一瞬迷い込んでしまったがために、唖然としてしまう。王子として相応に表情を隠す訓練を受けてきたが、今この時ばかりはその訓練もなんら意味を成さない。
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