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1章 幸せの花園
15 魔法属性テスト (1)
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かちゃかちゃと食器を洗い、ノアはぱっぱと水を払う。
「食器洗い終わったぁ?」
のびのびと欠伸をした魔女に、ノアはにっこりと笑う。
ノアによってキッチンが出禁になった魔女は、今日もリビングの机でダラダラと過ごしている。
———あれだけお皿を割られると逆に2度手間だからな………、
初めの頃は、ノアと魔女2人でお皿を洗っていた。けれど、魔女は毎度洗うお皿全てを割っていった。初めてお皿を洗ったノアですらも1枚も割らなかったのにも関わらず、魔女は全て割ってしまった。これではいくらお皿があったとしても足りないという状況になり、ノアは渋々魔女のキッチンへの出入りを禁止した。
かちゃん、
最後のお皿を食器棚に戻したノアは、エプロンの端で手を拭いながら魔女の方に戻る。
「終わりました」
「ん~、おかえりぃ」
おっとりと艶やかに微笑む魔女にきゅっと背筋を伸ばしたノアは、真っ直ぐと魔女の黄金の瞳を見据える。小さい頃から、たくさんの大人の表情を伺いながら暮らしてきたノアだからわかる。
———これは、大事な何かを伝えるときのお顔。
ごくっと唾を飲み込んだノアは、机の下でぎゅうぅっと拳を握りしめた。
「今日からぁ、ノアに魔法を教えようと思いまぁ~す!」
「え………、」
捨てられることも視野に入れて重大発表に臨んでいたノアは、ぱちぱちと瞬きをする。
「ん?魔法イヤだったぁ?」
きょとんとした表情をしたノアに、魔女はあわあわと慌て始める。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「食器洗い終わったぁ?」
のびのびと欠伸をした魔女に、ノアはにっこりと笑う。
ノアによってキッチンが出禁になった魔女は、今日もリビングの机でダラダラと過ごしている。
———あれだけお皿を割られると逆に2度手間だからな………、
初めの頃は、ノアと魔女2人でお皿を洗っていた。けれど、魔女は毎度洗うお皿全てを割っていった。初めてお皿を洗ったノアですらも1枚も割らなかったのにも関わらず、魔女は全て割ってしまった。これではいくらお皿があったとしても足りないという状況になり、ノアは渋々魔女のキッチンへの出入りを禁止した。
かちゃん、
最後のお皿を食器棚に戻したノアは、エプロンの端で手を拭いながら魔女の方に戻る。
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おっとりと艶やかに微笑む魔女にきゅっと背筋を伸ばしたノアは、真っ直ぐと魔女の黄金の瞳を見据える。小さい頃から、たくさんの大人の表情を伺いながら暮らしてきたノアだからわかる。
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ごくっと唾を飲み込んだノアは、机の下でぎゅうぅっと拳を握りしめた。
「今日からぁ、ノアに魔法を教えようと思いまぁ~す!」
「え………、」
捨てられることも視野に入れて重大発表に臨んでいたノアは、ぱちぱちと瞬きをする。
「ん?魔法イヤだったぁ?」
きょとんとした表情をしたノアに、魔女はあわあわと慌て始める。
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