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1章 幸せの花園
8 続・大掃除!! (2)
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抜けている箇所の床の近くには行かないように気をつけながら、ノアは家の前にあるゴミの山の中から何枚かの布を取り出す。どうやらここ数日運良く雨が降らなかったらしく、荷物は1つとして濡れていない。けれど、時間が経てばもしかしたら雨が降ってしまうかもしれない。
———急いで終わらせないと………!!
手芸の箱を見つけたノアは箱を開け、中に積もっていた埃をふーっと払ってハサミを取り出し、布を王宮のメイドが使っていた雑巾の大きさぐらいに切り刻む。
ついでに山積みの本の中から、見覚えのある『建築のすゝめ』という題の本を分かりやすい位置に出しておきつつ、初めて針を握ったノアは、震えるてで布を2枚重ねて端と端をどうにかこうにか縫い合わせる。
縫い目は荒くヨレヨレで、お世辞にも上手とは言えないけれど、真ん中にバツの縫い目を足すことで、どうにかこうにか雑巾に見え………なくはないものが出来上がった。2枚目は1枚目よりもどうにか上手く作れたが、やっぱり見られるものじゃない。
「あらぁ?それって雑巾?」
「………次はもっと上手くできるもん」
「うんうん、ノアは向上心があっていいねぇ」
頭を少し強めにわしわしと撫でられて、ノアはぷくっと頬を膨らませる。
「それじゃぁ、それで巣の中を拭こうかぁ」
「うん」
魔女に連れられて荒屋の中に戻ると、部屋には水が貯められた桶が置いてあった。
「?」
自分が置いた覚えのないものがあることに首を傾げていると、横に佇む魔女が少しおかしそうに笑った。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
———急いで終わらせないと………!!
手芸の箱を見つけたノアは箱を開け、中に積もっていた埃をふーっと払ってハサミを取り出し、布を王宮のメイドが使っていた雑巾の大きさぐらいに切り刻む。
ついでに山積みの本の中から、見覚えのある『建築のすゝめ』という題の本を分かりやすい位置に出しておきつつ、初めて針を握ったノアは、震えるてで布を2枚重ねて端と端をどうにかこうにか縫い合わせる。
縫い目は荒くヨレヨレで、お世辞にも上手とは言えないけれど、真ん中にバツの縫い目を足すことで、どうにかこうにか雑巾に見え………なくはないものが出来上がった。2枚目は1枚目よりもどうにか上手く作れたが、やっぱり見られるものじゃない。
「あらぁ?それって雑巾?」
「………次はもっと上手くできるもん」
「うんうん、ノアは向上心があっていいねぇ」
頭を少し強めにわしわしと撫でられて、ノアはぷくっと頬を膨らませる。
「それじゃぁ、それで巣の中を拭こうかぁ」
「うん」
魔女に連れられて荒屋の中に戻ると、部屋には水が貯められた桶が置いてあった。
「?」
自分が置いた覚えのないものがあることに首を傾げていると、横に佇む魔女が少しおかしそうに笑った。
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