永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

水鳥楓椛

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1章 幸せの花園

8 続・大掃除!! (1)

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▫︎◇▫︎

「気を取り直して!これから大掃除を開始させていただきます!!」

 魔女のお家に住み始めて約10日後の朝、口元に布を巻きはたきを手に握ったノアは魔女に宣言する。

「それでぇ?ノアは何をするのぉ?」
「まずは埃を落としていきます。掃除の基本は『上から下へ』です」

 はたきを手に脚立に登ったノアはパタパタと埃を落としていく。

「けほっ、けほっ、」
「あらあらぁ、大丈夫ぅ?というか、このぐらい魔法でよくなぁい?ほらぁ!」

 魔女の指先から風が現れ、ふわりふわりと部屋の中央に埃が集められる。

「………………、」
「ねぇ?簡単でしょぉ?」

 ———………コレ、僕って必要………………?

 魔女の微笑みに、ノアは一瞬固まったのちに、気を取り直すようにぶんぶんと頭を振ってぎゅっと拳を握る。

 ———ちょっとでもお役の立たなくちゃ。僕は、居候の身なのだから。

 ノアはパチンと小さく頬を叩くと、次の作業に移る。

「つ、次は埃を袋に集めてお外に出してから拭き掃除です」
「分かったわぁ」

 魔女が魔法で埃を袋に詰める傍ら、ノアはぐるっと周囲を見回す。

 埃や蜘蛛の巣を全て取り出したことによって、荒屋はほんの少しだけ綺麗になった。だからこそ気になるのは、屋根の抜けてしまっている箇所と壁に空いているいくつかの穴だ。ネズミが入ってきているっぽい感じの穴は塞いだほうがいい気がする。

「………それもこれも、拭き掃除が終わってからかな」

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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