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1章 幸せの花園

5 傷の手当てとご飯と (5)

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 ———………ほんとうに食べられるかな………、

 魔女に手渡された木製のスプーンで1口分掬い上げたノアは、紫と緑に変色したスープであったものに、眉間に小さく皺を寄せた。

 ———度胸………、

 パクりと口の中に入れた瞬間、エグ味と臭みと酸味と辛味を一緒に混ぜてそれを長期間雨風に晒したような味と匂いが口と鼻を襲った。

「っ、」

 身体中を駆け巡る吐き気を必死に飲み込み、胃液が戻ってきたことによってひりひりする喉を小さく撫でてから、もう1口もう1口とだんだんとその中身を食べ尽くしていく。
 拷問にも感じられる食事が終わった瞬間、ノアははたっと口直しの水がないことに気がついた。

 ———嘘だよね………?

 絶句したのも束の間、お腹からキュルルルルルゥっという聞こえてはいけない音がした。そして、激痛に襲われる。

「お、お手洗い………、」
「あぁー、そこら辺でしてくるといいわぁ。トイレがどこにあるか分からないものぉ」
「はい?」
「ごめんなさいねぇ、魔女はお手洗いを必要としないから、使ったことがないのよぉ~。多分、この巣のどこかにはあると思うのだけれど………、」

 ———嘘だと言ってほしい………。

 慌てて外に飛び出し茂みの中で用を足したノアは、本日だけでも何度も願った言葉を頭に中で反芻しながら、荒屋へと帰宅した。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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