永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん 〜永遠を生きる魔女と世界を恨んでいる元王子の初恋は、全世界を敵に回す〜

水鳥楓椛

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1章 幸せの花園

4 魔女の家 (2)

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 ———魔女の伝説がどこまで当てになるのかなんて分からない。でも、僕の直感は魔女を味方につけた先の未来に希望を見出している。

 今回叔父に、新国王に寝返った人間なんて信用ならない。
 そうなると、ノアには味方が一切いないのだ。

 何故ならば、叔父に意見をした貴族はどんなに些細なことでも皆殺されているから。

 今、貴族は大商人で叔父のことを表立って支持していない家は、辺境に領地を持ち、そちらで暮らしている貴族や1代限りの男爵家、そして世界中に拠点を持つ大商会が多い。

 つまり、味方につけたとしてそこまで役に立たない一族ばかりなのだ。

 足場の悪い獣道をふらふらとしながら歩くノアは、道が唐突に歩きやすくなったことを感じながら、若葉色の瞳が映した光景に目を見開いた。

「???」

 ノアの視線の先にあるのは、見たことのないような恐ろしい家、否、家とも言えぬ粗末な建物。
 漆黒ので赤錆まみれの家は多分、王宮のノアの部屋の大きさにも満たない。

 ———犬小屋?

 ぱちぱちと瞬きをしたノアは、そう自分に言い聞かせることにして再び周囲を見回した。
 けれど、目の前にある犬小屋のような大きさの建物以外には、一切の建物が存在していない。

 呆然としているノアの隣から、魔女にころころと笑う声が聞こえた。

 ———………やっぱり世間知らずをバカにされてたんだ。

 バカにされてほんの僅かに抱いた反骨心も、今にも崩れ落ちてしまいそうな家に住まなくて済むということへの安堵で消え去った。
 小さく吐息をこぼしたノアに、艶やかに笑った魔女は言った。

「ほぉうら、今日からここがお前のお家だよぉ」
「………………、」

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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