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1章 幸せの花園
3 とっても良い子 (1)
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ノアールことノアの横に座り込んだ魔女は、ノアの血と泥に汚れた黒髪の頭を撫でる。
魔女の尖った爪に一瞬怖がりながらも、その手がとても優しい手つきであることに気がついたノアは、初めて感じる人肌の暖かさに幸せそうに目を細めた。
———僕なんかを撫でてくれる人がいるなんて思わなかった。
頭を撫でてもらうというとっても特別なことは、やっぱり特別な暖かさがあった。
今までに感じたことのない動悸を感じる。
どきどきふわふわと幸せに浸りながら、ノアは僅かに身体を横に揺らす。
ふわっと森特有の土と葉っぱの匂いが混じる森の中で、ノアは眠気に任せてとろんと若葉のような瞳を閉じる。
———今なら、死んでもいいかも。
ノアは欲しいものを十分に手に入れた。
愛してもらえなかったし、抱きしめてももらっていない。
けれど、もう十分だ。
この美しき魔女に、ずっと夢に見てきた愛称で呼ばれることとと頭を撫でてもらうことを達成してもらえた。
それだけで、ノアの人生は満たされるし、満たされた。
ぱっと頭を撫でる手が止められたノアは、頭がもの寂しくて魔女のことを見上げた。
ずっと撫でてもらえるなんて傲慢なことは思っていなかったけれど、いざ辞められるととてもさびしい。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
3話開始です!!
魔女の尖った爪に一瞬怖がりながらも、その手がとても優しい手つきであることに気がついたノアは、初めて感じる人肌の暖かさに幸せそうに目を細めた。
———僕なんかを撫でてくれる人がいるなんて思わなかった。
頭を撫でてもらうというとっても特別なことは、やっぱり特別な暖かさがあった。
今までに感じたことのない動悸を感じる。
どきどきふわふわと幸せに浸りながら、ノアは僅かに身体を横に揺らす。
ふわっと森特有の土と葉っぱの匂いが混じる森の中で、ノアは眠気に任せてとろんと若葉のような瞳を閉じる。
———今なら、死んでもいいかも。
ノアは欲しいものを十分に手に入れた。
愛してもらえなかったし、抱きしめてももらっていない。
けれど、もう十分だ。
この美しき魔女に、ずっと夢に見てきた愛称で呼ばれることとと頭を撫でてもらうことを達成してもらえた。
それだけで、ノアの人生は満たされるし、満たされた。
ぱっと頭を撫でる手が止められたノアは、頭がもの寂しくて魔女のことを見上げた。
ずっと撫でてもらえるなんて傲慢なことは思っていなかったけれど、いざ辞められるととてもさびしい。
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