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1章 幸せの花園

2 永遠を生きる魔女 (1)

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▫︎◇▫︎

 ぴー、ちちち、

 鳥の鳴き声で目を覚したのなんていつぶりだろうか。
 白く霞む視界に顔を顰めながら、満身創痍となったノアールは痛む身体を起こした。

 深い深い森の奥深く。
 ノアールはたくさんたくさん逃げた末に、ここに辿り着いた。

 あの緊急避難経路を使用した直後、ノアールは僅かな時間気を失っていた。

 だが、どのくらいの時間かは分からないが、明け方に矢で射られた激痛によってには目覚め、それからは長い長い時間、襲撃を受けた次の日も夜通し逃げ続けるほどの逃走劇を繰り返していた。

 今まで自分に媚びを売っていた人間や意地悪ばかりをしてきた人間たちがあっという間に敵に周り、ノアールに弓矢や剣を突きつけてきた。

 何度も何度も死にかけ、血だらけになりながら必死になって逃げた。
 王族を守り死んだ1人の騎士の言葉に感化され逃げた。

 けれど、ノアールには逃げた先何をすれば良いのか分からなかった。

 ここには褒めて欲しいと願う父王も、愛して欲しいと願う母妃も、ノアールの日程を組み常にギャンギャン吠えている世話係も、ノアールにありとあらゆるお勉強を教えてくれる教育係もいない。

 ここには本当に誰もいない。

 ———誰も、僕のことを愛してくれない。

 王子としての責務も投げ出してしまったノアールには、もう本当に何も残っていない。

 人々がノアールを羨み続けた理由たる、家柄も、財力も、将来手に入れるはずだったモノも、一夜と1日にして、ノアールは今まの人生で得たモノ殆ど全てを失った。

———こんなふうになってしまった僕に、生きている意味なんてあるの………?

 血だらけになったパジャマ姿で三角座りをしたノアールは、ぎゅっと膝を抱きしめ、膝に顔をうづめた。

*************************

 読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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