完 婚約破棄の瞬間に100回ループした悪役令嬢、おせっかいしたら王子に溺愛されかけた為、推しと共に逃亡いたします。

水鳥楓椛

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「レットちゃぁん!すてちゃいやあああぁぁぁぁ!!」

 スンスンがビャーに変わって、うああぁぁ!になったディートリヒがマリーナに首根っこを押さえつけられている。

(えっとこれは………、)
「………………そもそもわたくし、ディー君のこと大事には思っているけれど、嫁ぎたくはないのよね………、」

 阿鼻叫喚の景色に眩暈がしてくる。

「———ならば俺が娶ろう」

 グラグラと身体が揺れ始めた頃、ヴァイオレットの耳に艶やかで美しいテノールボイスが響いた。低すぎず高すぎない好みの声を聞き、ヴァイオレットの背中にゾクゾクしたものが這い上がった。

(この声はまさか………!!)

 ばっと声の方である2回席に視線を向けると、そこには漆黒の翼を持つ美丈夫が佇んでいた。漆黒に黄金の刺繍が輝くジャケットを美しく着込んだ男は、切長のガーネットのような瞳を細め、しゃらしゃらと右耳に揺れる房飾りとパーティー用なのかしっかりとセットされた漆黒の髪を風に揺らしながら、男が会場に舞い降りる。

「ま、魔王………!!」

 ディートリヒが怯えたような声を出した瞬間、魔王ディアブロ、ヴァイオレットの前世のが優雅に羽ばたき、漆黒の羽がふわりふわりと舞い落ちた。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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