完 婚約破棄の瞬間に100回ループした悪役令嬢、おせっかいしたら王子に溺愛されかけた為、推しと共に逃亡いたします。

水鳥楓椛

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 78回目、79回目、80回目、81回目、82回目、83回目と叫んで叫んで叫びまくって、王宮の客室にて過ごしたが、結局はどれも殺された。逃げるという選択肢は3回の部屋で扉と窓の前に見張りがいるという点から無かった為に、暗殺者に狙われても魔法を展開しての泣けなしの抵抗しかできなかった。

(この作戦は諦めるべきね………)

 84回目以降は、威風堂々とした佇まいで色々な罵詈雑言を高潔に吐いてみた。嘘も間違ったことも1度も言ってないが、結局はディートリヒによって地下牢に繋がれた。誰も庇ってくれなし、拷問をされることもあり、1番碌でもない人生だ。
 けれど、何故かあの犬系王太子ディートリヒにガンガン文句を言えるのが気持ちよくて、積年の恨みつらみを言いまくった。何故か側近たちが同調してくる回もあってなかなかに楽しかった。

 99回目の人生は特に愉快だった。
 近衛騎士団長の息子、宰相の孫、魔法師団長の甥、そして何とディートリヒの愛おしい人マリーナまでもが一緒になってディートリヒの悪口を言いまくて、みんな仲良く地下牢に繋がれて拷問の末に殺された。

(あぁ、本当にもう満足だわ)

 ディートリヒに言いたかった恨みつらみはちゃんと全部つつがなく言えた。

 こうして、ヴァイオレットにとって100回目の人生が幕を開け、先程無事に?婚約破棄がつつがなく行われた。だからこそ、ヴァイオレットは穏やかに微笑んで優雅にカーテシをした。桜色のぷっくりとしたくちびるが弧を描き、最後の一音を除き、鈴を転がすような澄んだ声が響く。

「承知いたしましたわッ!?」

 今回こそは全てを諦めて大人しく成仏しようと決意した瞬間、ヴァイオレットの頭には激しい頭痛が走った。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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