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番外編②
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甘えたでベタベタしてきているはずなのに、今この瞬間も額や耳にキスされまくっていて恥ずかしいはずなのに、ノエルがきらきら見えてしまう。
「シェリー」
くいっと顎を上げられた私は、ゆっくりと灰色の瞳を隠す。
触れるだけの優しいキスが何度も何度も落とされる。
その度に心がポカポカと温まり、私はノエルのシャツの胸元をぎゅっと握り込んだ。
数分、否、数十秒ほどそうやって過ごした私たちは、お互いの肩に額を預け、頬を緩める。
「そういえばシェリー、さっきの書類読んだ?」
「ふぇ?」
「あの書類は可決でいいよね?」
「それはノエルが決定すべきことでしょう?」
「残念。コレはシェリーが持つべき案件なんだよなぁ」
「えっ!」
目を通したフリをしていた私には、当然先ほどの書類に何が書かれていたかなんて知らない。
慌てて書類に目を落とした私は、次の瞬間目を見開いて頬を周知で赤く染めた。
「ははっ、書類、反対だったでしょ」
「———っ!!」
身悶えながらノエルの方にぐりぐりと額を押し付けると、彼は私の銀髪にゆっくりと指を通し始めた。稀に頭に触れる感触が、首筋を指先が掠める感触がたまらなくくすぐったくて、それでいて心地いい。
「こんなのんびりした時間、久しぶりだなぁ」
「………そうね」
「寮にいた頃は朝から晩までこんな感じだったのに」
「………そうかしら?」
こてんと首を傾げて彼の顔を見上げた私は、その甘やかなとろりとした表情に、ひゅっと息を飲み込んだ。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「シェリー」
くいっと顎を上げられた私は、ゆっくりと灰色の瞳を隠す。
触れるだけの優しいキスが何度も何度も落とされる。
その度に心がポカポカと温まり、私はノエルのシャツの胸元をぎゅっと握り込んだ。
数分、否、数十秒ほどそうやって過ごした私たちは、お互いの肩に額を預け、頬を緩める。
「そういえばシェリー、さっきの書類読んだ?」
「ふぇ?」
「あの書類は可決でいいよね?」
「それはノエルが決定すべきことでしょう?」
「残念。コレはシェリーが持つべき案件なんだよなぁ」
「えっ!」
目を通したフリをしていた私には、当然先ほどの書類に何が書かれていたかなんて知らない。
慌てて書類に目を落とした私は、次の瞬間目を見開いて頬を周知で赤く染めた。
「ははっ、書類、反対だったでしょ」
「———っ!!」
身悶えながらノエルの方にぐりぐりと額を押し付けると、彼は私の銀髪にゆっくりと指を通し始めた。稀に頭に触れる感触が、首筋を指先が掠める感触がたまらなくくすぐったくて、それでいて心地いい。
「こんなのんびりした時間、久しぶりだなぁ」
「………そうね」
「寮にいた頃は朝から晩までこんな感じだったのに」
「………そうかしら?」
こてんと首を傾げて彼の顔を見上げた私は、その甘やかなとろりとした表情に、ひゅっと息を飲み込んだ。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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