8 / 63
8 貴様の悪食
しおりを挟む
「アルさまが何を言っても聞かない挙句、勝手に話を進めるので諦めました。逆ハークリアしたので隠しキャラのビジュを見たら、即刻おさらばしますので、ご安心ください。って言っても伝わらないか。あぁー、この悪役令嬢なんか小鞠っちぽくて懐かしー」
「———」
唖然としてしまう私が何かを口にしようとした瞬間、アルゴノートさまがキララーンと自らご自慢の太陽のような輝きを持つ金髪をかき上げた。
「貴様の悪食!全て僕の耳には入っている!!」
「悪食………?」
「貴様がー、えぇーっとなんだっけ?」
後ろにいた従者さまがささっとアルゴノートさまの耳元によって、こしょこしょと何かを話している。
従者さまののお手々には汚ったない文字で綴られた、誤字脱字、インクの飛び散りまみれのカンペらしき作文用紙が握られていることから見ると、どうやらアルゴノートさまは今回の断罪に道筋を立ててからこの場に立っているらしい。
つまり、お馬鹿でその場その場の適応力がないアルゴノートさまは、誰がなんと言おうとその場の状況にそぐわなくともノンストップでカンペを読み上げるということだ。
(終わった………。泣きたい、叫びたい、地団駄踏みたい、………うぅー、また吐きそう。胃が痛いし、喉が痛いし、頭グラグラする………………、)
半泣きの私は、ふらふらとし始めた身体を従者のノエルに預ける。
細身に見えるのにも拘らずずっしりと広い胸板に身を預けた私は、ノエルにされるがままふわりふわりと頭を撫でてもらう。
ノエルの日々の努力によってツルツルさらさらに保たれている銀髪は、彼のお気に入りらしくこうしてよく撫でられる。
ちゅっちゅと落とされるキスもされるがまま状態で甘えていると、私の耳は彼によって閉ざされた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「———」
唖然としてしまう私が何かを口にしようとした瞬間、アルゴノートさまがキララーンと自らご自慢の太陽のような輝きを持つ金髪をかき上げた。
「貴様の悪食!全て僕の耳には入っている!!」
「悪食………?」
「貴様がー、えぇーっとなんだっけ?」
後ろにいた従者さまがささっとアルゴノートさまの耳元によって、こしょこしょと何かを話している。
従者さまののお手々には汚ったない文字で綴られた、誤字脱字、インクの飛び散りまみれのカンペらしき作文用紙が握られていることから見ると、どうやらアルゴノートさまは今回の断罪に道筋を立ててからこの場に立っているらしい。
つまり、お馬鹿でその場その場の適応力がないアルゴノートさまは、誰がなんと言おうとその場の状況にそぐわなくともノンストップでカンペを読み上げるということだ。
(終わった………。泣きたい、叫びたい、地団駄踏みたい、………うぅー、また吐きそう。胃が痛いし、喉が痛いし、頭グラグラする………………、)
半泣きの私は、ふらふらとし始めた身体を従者のノエルに預ける。
細身に見えるのにも拘らずずっしりと広い胸板に身を預けた私は、ノエルにされるがままふわりふわりと頭を撫でてもらう。
ノエルの日々の努力によってツルツルさらさらに保たれている銀髪は、彼のお気に入りらしくこうしてよく撫でられる。
ちゅっちゅと落とされるキスもされるがまま状態で甘えていると、私の耳は彼によって閉ざされた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
68
お気に入りに追加
752
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
お姉様のお下がりはもう結構です。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。
慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。
「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」
ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。
幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。
「お姉様、これはあんまりです!」
「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」
ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。
しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。
「お前には従うが、心まで許すつもりはない」
しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。
だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……?
表紙:ノーコピーライトガール様より
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる