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139 マリアの変化

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「なんで、なんで精神的に超絶ぐったりしているのに、寝不足解消、肩凝りゼロ、栄養バランス完璧、お肌もっちもち、ボディーライン完璧になっているのおおおぉぉぉぉ!!」

 テスト終了後にベアトリスのサロンで机に突っ伏したマリアが悲惨な叫び声を上げた。ここ1ヶ月で、マリアは勉学や運動、魔法はもちろんのこと、作法に見た目がありえないほどに急速な成長を迎えていた。
 美少女っぷりに磨きがかかり、ベアトリスでも舌を巻きたくなるような完璧少女がここに誕生したのだ。本当に、『空気が読めない女第1位』というレッテルが貼られたマリアをここまで育て上げたことを誰かに褒めて欲しい。というか、控えめに言って褒めろとベアトリスは物申したい。だが、誰にもいえる人間がいないのが苦しい。
 クラウゼルに見て見てーって何度かやりかけるぐらいにはマリアのダメさに精神的に異常をきたしていたベアトリスは、けれどもそれをわずかの漏れもなく隠し切って、にこっと淑女の笑みを浮かべる。

「私のレッスンが完璧だったからね」
(にしても、どうやればあんなに叫んでなお喉が平気でいられるのかしら)

 凝り性の血が騒いで仕方がないのを必死に我慢しながら、ベアトリスはいずれ喉を徹底的に調べさせてもらおうと心の中で誓った。

「にしても、本当に化けたわよね。すごく美人さんになったわ」
「………梨瑞ももっと美人になったように見えるのは気のせい?」
「あなただけにやらせるだなんて酷いことは流石にしないわよ」

 他人だけにやらせて自分は高みの見物など言語道断。やるからには自分も巻き込んで徹底的にというのがモットーなベアトリスは、マリア同様にここ1ヶ月過激なレッスンを自分にも課していた。もちろん、マリアにやらせた分量ではベアトリスには効きもしないので、王太子婚約者としての公務、学園での学び、家庭教師から教わる専門的教育、美容についてはありとあらゆるプロフェッショナルをブラックウェル公爵邸に自分のお小遣いで呼び寄せた。

「うふふっ、私もここ1ヶ月で見違えるように美人になったわね」

 鏡を見つめながら、ベアトリスは満足そうに笑った。

******************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈‍⬛🐈

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