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131 何か違うデート

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「うおっ!?お前誰!?」
「トリスさまとお呼びくださいませ」

 ふわっと髪を靡かせて胸を張ると、モブオはぐっと顔を顰めた。

「なあ、もしかしなくともそれが変装だって言わないよな」
「言うわよ。商家の娘さまとちょっといいところのお坊っちゃま。わたくしとあなたならいい感じじゃないかしら」
「その髪と瞳で言うな馬鹿」
「えぇー、」

 腕を絡めたベアトリスは、にこっと笑って彼を引っ張る。

「さあ、秘密の逢瀬の時間よ」

 クレープ屋さんに青果屋さん、ハンバーガー屋さん、お弁当屋さん。いろいろなお店を回って食べて回る。甘いものに辛いもの、酸っぱいもの、食べるだけ食べて満腹になったベアトリスは、ぐっとベンチに座り込んだ。

「た、食べたー」
「そうね。食べ過ぎたわ」

 満腹になったお腹をさすりながら、ベアトリスは黄金色の髪をいじいじといじった。

「なあ、なんで金髪藍眼なんだ?」
「? なんでだろ。きれい、だからかな?」
「そっか」

 ーーーかぁー、かぁー、

 漆黒の鳥が大空を舞う。
 空はいつのまにか橙色に染まっていた。

「さあ、そろそろ帰る時間かしら」
「そうだな」
(なんか違う。楽しいのに、ドキドキしない)

 心の中の違和感を無視して、モブオと別れたベアトリスは家に帰宅する。

「ただいま戻りました」
「「お帰りなさいませ、ベアトリスお嬢さま」」
「ただいま、ルナ、レナ」

 身長が圧倒的に小さな侍女2人の頭を撫でて、ベアトリスは無表情の双子の侍女をじっと観察する。

「今日は顔色がいいわね。昨日、ご飯はちゃんと食べた?お布団でちゃんと眠った?」
「「は、はい」」
「ちゃんと、眠りまし、た」
「ちゃんと、食べ、ました」

 真っ赤なストレートの髪にゆらめく炎のような赤い瞳のルナと、真っ赤なストレートの髪に巻き上がる風のような緑色の瞳のレナ。2人は捨て子でベアトリスが拾った子だ。
 拾った当初は父アルフレッドに犬猫のように人間は軽々しく拾ってはいけないとこっぴどく叱られたものだが、今2人をもっとも可愛がっているのはアルフレッドだ。
 餌付けをするとぶんぶん尻尾を振っている小型犬のような印象を与えるのが可愛らしくて仕方がないらしい。
 分からないでもないが、お菓子をあげ過ぎて最近ご飯がお腹に入らなくなってきているのが、彼女たちの監督責任を持っているベアトリスの目下の悩みだ。

「よし、いい子」

 でも、くどくど怒ることは出来なくて、ベアトリスはよしよしと双子の頭を再び撫でるのだった。

******************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈‍⬛🐈

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