129 / 243
129 逢引に誘う
しおりを挟む
「エレンはどこか知らないかしら」
「エレンならお庭にいるかと」
探している途中で出会った執事に尋ねてたベアトリスはお庭に出てみた。すると、エレンはびっくりするくらいに簡単に見つかった。
エレンはお庭で草いじりをしていた。魔法属性が土の彼女は土との相性がいいらしく、そういえばよく庭師の真似事をしていたことを思い出す。
「エ~レン」
「わっ、ベアトリスお嬢さま!!」
首筋にある奴隷時の名残の番号を隠すためにチョーカーを身につけている侍女エレンは、妖艶な美女だ。ベアトリスと同い年で身体付きがよく似ている。肩上のふわふわとした金髪と艶やかなチョコレート色の宝石みたいな瞳が愛らしい。
「トリスでいいって何度言えば分かるの?」
「はいはい、トリスお嬢さま。で?なんのご用事ですか?」
「お洋服を貸してほしいの。私、モブオを誘って出かけてこようかなって思って」
手でハート型を作って見せると、エレンは呆れたような半眼を作って、これ見よがしに溜め息を吐く。
「ま~た叶わぬ恋の逢引ですか」
「うぐっ、」
「いいですよ。お洋服の準備をして参りますので、モブオを誘ってきてください」
「ありがとう、エレン」
モブオを探すためにまたベアトリスはお庭の中をお散歩する。薔薇が多い庭園は圧巻で、毎度歩く度に景色が少しずつ変わるのがまた面白い。今日も堪能しながら歩いていると、見知った背中をみつけた。
「モ~ブオ」
「………またおサボリですか、ベアトリスお嬢さま」
彼もまた半眼で、ベアトリスは肩をすくめた。
「今日はちゃんと授業が終わったから遊びに来たの。ちょっと街遊びに付き合ってよ」
「またですか」
「そうそう。来ないの?」
ベアトリスは髪をいじいじと弄びながら、行かないという彼に人参をぶら下げる。
「行き、」
「クレープでも奢ってあげよっか?」
「………ます」
(今日も私の勝ちね)
ベアトリスは勝ち誇った顔を浮かべて、30分後にいつもの路地裏集合と約束したのだった。
******************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
「エレンならお庭にいるかと」
探している途中で出会った執事に尋ねてたベアトリスはお庭に出てみた。すると、エレンはびっくりするくらいに簡単に見つかった。
エレンはお庭で草いじりをしていた。魔法属性が土の彼女は土との相性がいいらしく、そういえばよく庭師の真似事をしていたことを思い出す。
「エ~レン」
「わっ、ベアトリスお嬢さま!!」
首筋にある奴隷時の名残の番号を隠すためにチョーカーを身につけている侍女エレンは、妖艶な美女だ。ベアトリスと同い年で身体付きがよく似ている。肩上のふわふわとした金髪と艶やかなチョコレート色の宝石みたいな瞳が愛らしい。
「トリスでいいって何度言えば分かるの?」
「はいはい、トリスお嬢さま。で?なんのご用事ですか?」
「お洋服を貸してほしいの。私、モブオを誘って出かけてこようかなって思って」
手でハート型を作って見せると、エレンは呆れたような半眼を作って、これ見よがしに溜め息を吐く。
「ま~た叶わぬ恋の逢引ですか」
「うぐっ、」
「いいですよ。お洋服の準備をして参りますので、モブオを誘ってきてください」
「ありがとう、エレン」
モブオを探すためにまたベアトリスはお庭の中をお散歩する。薔薇が多い庭園は圧巻で、毎度歩く度に景色が少しずつ変わるのがまた面白い。今日も堪能しながら歩いていると、見知った背中をみつけた。
「モ~ブオ」
「………またおサボリですか、ベアトリスお嬢さま」
彼もまた半眼で、ベアトリスは肩をすくめた。
「今日はちゃんと授業が終わったから遊びに来たの。ちょっと街遊びに付き合ってよ」
「またですか」
「そうそう。来ないの?」
ベアトリスは髪をいじいじと弄びながら、行かないという彼に人参をぶら下げる。
「行き、」
「クレープでも奢ってあげよっか?」
「………ます」
(今日も私の勝ちね)
ベアトリスは勝ち誇った顔を浮かべて、30分後にいつもの路地裏集合と約束したのだった。
******************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
0
お気に入りに追加
321
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
全ルートで破滅予定の侯爵令嬢ですが、王子を好きになってもいいですか?
紅茶ガイデン
恋愛
「ライラ=コンスティ。貴様は許されざる大罪を犯した。聖女候補及び私の婚約者候補から除名され、重刑が下されるだろう」
……カッコイイ。
画面の中で冷ややかに断罪している第一王子、ルーク=ヴァレンタインに見惚れる石上佳奈。
彼女は乙女ゲーム『ガイディングガーディアン』のメインヒーローにリア恋している、ちょっと残念なアラサー会社員だ。
仕事の帰り道で不慮の事故に巻き込まれ、気が付けば乙女ゲームの悪役令嬢ライラとして生きていた。
十二歳のある朝、佳奈の記憶を取り戻したライラは自分の運命を思い出す。ヒロインが全てのどのエンディングを迎えても、必ずライラは悲惨な末路を辿るということを。
当然破滅の道の回避をしたいけれど、それにはルークの抱える秘密も関わってきてライラは頭を悩ませる。
十五歳を迎え、ゲームの舞台であるミリシア学園に通うことになったライラは、まずは自分の体制を整えることを目標にする。
そして二年目に転入してくるヒロインの登場におびえつつ、やがて起きるであろう全ての問題を解決するために、一つの決断を下すことになる。
※小説家になろう様にも掲載しています。
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
私と運命の番との物語
星屑
恋愛
サーフィリア・ルナ・アイラックは前世の記憶を思い出した。だが、彼女が転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢だった。しかもその悪役令嬢、ヒロインがどのルートを選んでも邪竜に殺されるという、破滅エンドしかない。
ーなんで死ぬ運命しかないの⁉︎どうしてタイプでも好きでもない王太子と婚約しなくてはならないの⁉︎誰か私の破滅エンドを打ち破るくらいの運命の人はいないの⁉︎ー
破滅エンドを回避し、永遠の愛を手に入れる。
前世では恋をしたことがなく、物語のような永遠の愛に憧れていた。
そんな彼女と恋をした人はまさかの……⁉︎
そんな2人がイチャイチャラブラブする物語。
*「私と運命の番との物語」の改稿版です。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる