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部下への落胆
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▫︎◇▫︎
眠った鈴春の身体を脱いだマントの上に横たえた俺は、立ち上がり1歩前に踏み出す。
「さて、どういうつもりでことを犯したのか弁明してもらおうか」
俺が見下ろす先には、鈴春が氷付けにしたことによって全身の皮が無くなり、凍傷になりかけている男朝比奈拓人が呻き声を上げながら痛みにのたうち回っている。
次男が次男ならば、三男は三男だとはよく言ったものだ。あそこの家は長男以外にまともな人間がいない。
「醜い妖魔に鉄槌をっ!!」
足が凍っているか動けないらしい朝比奈拓人は、痛む身体を叱咤して俺に向けて大声で叫び始める。呻いていると思ったらいきなり変なことを叫び始めるのだから、元気な男だ。というか、あまりの痛みに感覚の神経が切れてしまったようだ。情けない。
「………お前の兄がなぜ死んだのか知っているか?」
「は?んなもん!妖魔にいきなり襲われてっ!!」
「お前の兄は成人をしていない妖魔の少女を手籠にしようとし、抵抗した妖魔の少女によって誤って殺されたんだよ。妖魔の少女曰くちょっと押したら身体が吹っ飛んで木に頭をぶつけて死んだらしい」
「は?」
あぁ、やっぱり知らなかったのか。
己の部下であった男へ浮かぶのはただただ深い落胆。
「お前たちの親は醜聞を揉み消すために、罪のない無抵抗な妖魔たちを惨殺していった。………お前はただの人殺しであり、俺の妻をも殺そうとした悪魔だ」
「あぁ!桂華院大佐!!可哀想に!あなたは騙されています!!今すぐにでも悪魔祓いをしなくては!!」
「狂っているのはお前の方だ」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
眠った鈴春の身体を脱いだマントの上に横たえた俺は、立ち上がり1歩前に踏み出す。
「さて、どういうつもりでことを犯したのか弁明してもらおうか」
俺が見下ろす先には、鈴春が氷付けにしたことによって全身の皮が無くなり、凍傷になりかけている男朝比奈拓人が呻き声を上げながら痛みにのたうち回っている。
次男が次男ならば、三男は三男だとはよく言ったものだ。あそこの家は長男以外にまともな人間がいない。
「醜い妖魔に鉄槌をっ!!」
足が凍っているか動けないらしい朝比奈拓人は、痛む身体を叱咤して俺に向けて大声で叫び始める。呻いていると思ったらいきなり変なことを叫び始めるのだから、元気な男だ。というか、あまりの痛みに感覚の神経が切れてしまったようだ。情けない。
「………お前の兄がなぜ死んだのか知っているか?」
「は?んなもん!妖魔にいきなり襲われてっ!!」
「お前の兄は成人をしていない妖魔の少女を手籠にしようとし、抵抗した妖魔の少女によって誤って殺されたんだよ。妖魔の少女曰くちょっと押したら身体が吹っ飛んで木に頭をぶつけて死んだらしい」
「は?」
あぁ、やっぱり知らなかったのか。
己の部下であった男へ浮かぶのはただただ深い落胆。
「お前たちの親は醜聞を揉み消すために、罪のない無抵抗な妖魔たちを惨殺していった。………お前はただの人殺しであり、俺の妻をも殺そうとした悪魔だ」
「あぁ!桂華院大佐!!可哀想に!あなたは騙されています!!今すぐにでも悪魔祓いをしなくては!!」
「狂っているのはお前の方だ」
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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