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あいしてる

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 空気がガラッと変わる。
 アオライトはさっき感じた、あの冷たくて容赦のない気配を纏っている。
 見つめてくる海色の瞳に激情が宿ている。

「君が皇子妃になりたくないと言うのであれば、すぐに身分を捨てよう。大丈夫、一生遊んで暮らせるぐらいの蓄えはある。こう見えても俺はお金持ちだし、権力も持ち合わせているからな」
「え?あ、」
「それとも金ではなくどこかの国か国宝が欲しいか?すぐに言え、1週間もせぬうちにとってきて見せよう」
「ちが、」

 『冗談だよね』とは言えないような本気の瞳をしたアオライトに、ユティカは困惑を極める。

「優花ちゃん、………いや、ユティカ。俺と一緒におばあちゃんになって、俺と一緒にたくさんの曾孫や孫に見守られて死んでくれ」

 アオライトの言葉に、ユティカは目を見開く。

「愛しているんだ。お前じゃなきゃ、だめなんだ」

 せっかくのプロポーズなのに、彼の顔が見えない。
 けれど、ユティカの返事は生まれ変わる前から決まっている。

「し、死んだあと、もっ、また、いっしょに、添い遂げ、て、くれるっ?」
「あぁ、もちろん」

 きついぐらいに全身を抱き留められる。
 息ができなくて、背骨がギシギシ言うほどに強く抱きしめられているはずなのに、痛いはずなのに、ユティカはとても幸せだ。

「愛してる、ユカ」
「わたしの、ほうがっ、あい、してるっ!」

 ゆっくりと近づいたくちびるは、やがて優しいランプの光に照らされた室内でとてもとても長い時間くっついていたらしい———。

*************************

読んでいただきありがとうございました🐈🐈🐈
これにて完結となります!!
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!!

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