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後悔

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◻︎◇◻︎

「———ん、———ゃん、………———優花ちゃん?」

 肩を優しく叩かれながら呼びかけられ、優花はぼーっとしていた意識を浮上させる。

「どーしたの、あおい、く、ん………?」

 優花の視線の先には、洒落た軍服を身に纏った漆黒の髪に海色の瞳を持つ彫りの深い美丈夫と中世ヨーロッパを彷彿とさせる家具たち。

「え、あ、」

 自分を見下ろすと、そこには水色の豪奢なドレスとレースの手袋、そして“前世では”身につけたことがないような、大粒の宝石たち。

(どう、して………、)

 信じられない思いで、優花は、否、ユティカは呆然とのろのろと、榛の瞳を目の前に佇むアオライトに向ける。
 さくら色のくちびるがわななき、大粒の真珠が大きな瞳からいくつもいくつもこぼれ落ちる。くちびるは無意識のうちに、前世から心に刻みつけられている愛おしい人の名を呼ぶ。

「あおい、くん………っ、」

 情けない声に、アオライトは、蒼みたいに、眉を下げて、優しく、くしゃっと笑う。

「………ちゃんと『助けて』って言えて偉かったね、優花。怖い場面であんなふうに堂々と振る舞えるようになっていて、僕はとっても感激しちゃったよ。………もう、君は僕に守られているだけのお姫さまじゃないんだね」

 人を安心させる独特の話し方に、優しさの滲み出る言葉選びに、優花は涙を止められない。涙と共に、今まで抱き続けてきた大きな思いまでも、ダイナミックにぶちまけてしまう。

「………ずっと、っ、ずっと、こう、かい、………して、たのっ。わたしがもっと………、もっと、せっきょく、てきにっ、うごけてたらって、………そ、そした、ら、っみんな、たす、たすかった、っ、んじゃ、ないかっ、て………っ!!だか、らっ!もう、まも、られた、まま、っ、じゃ、い、いやで、がん、ばったのっ。で、でも、っ、じょうず、でき、………っなくてっ———、」

 ———わたしが、もっと頑張れていれば、

 ———わたしが、もっと積極性を持ち合わせていれば、

 ———わたしが、もっと早く動けていれば、

 ———わたしが、もっと早く気がついていれば、

 ———わたしが、おばあさんに覆い被さるのではなく、無理矢理にでも引きずっていれば、

 ———わたしが、わたしがわたしが、わたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたし!!

 ———もっとっ!!

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
次話、13時更新です!!
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