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婚約破棄
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「今この瞬間を以て、私、レオナルド・ラルスト・オーギストは、ユティカ・フィオナ・グラツィーニ公爵令嬢との婚約を破棄する!!」
華々しい有終の美を飾るはずであった王立学園の卒業パーティーの終盤で、事件は起きた。
黄金の煌めく長髪に王家の証たる真紅の瞳を持つ美丈夫、レオナルド・ラルスト・オーギスト王太子の言葉に、焦茶色の巻き毛に榛色の瞳を持つ地味ながらに綺麗な少女、ユティカ・フィオナ・グラツィーニは、へにゃりと困ったように眉を下げた。
「理由を、お聞かせ願っても………?」
ユティカの自信がなさそうな弱々しい声に、レオナルドは冷たい視線を送る。
「はっ、本当に分からないのか?」
嘲るような声音を受ける謂れを、ユティカは覚えていない。
「お前が、私を“愛さない”からだ」
「………………あい、さなぃ………」
レオナルドの切れ長の真紅の瞳に、僅かな絶望と侮蔑、そして寂寥が渦巻く。
「あぁ、そうだ。お前は、10年前の私の6歳の誕生日パーティーの日から、私がお前に結婚を申し込んだあの日から、ずっとずっと、どんなに努力をしようとも、何をやっても、私を愛してはくれなかった」
「そ、………そんなっ、」
「はっ、そんなことはない?———いい加減にしろっ!!私はお前に何度も愛を乞うたっ!!私はお前に何度も愛を伝えたっ!!何度も!何度も何度も何度も!お前の好みに合うようにっ!何度も何度も己を偽って、騙して、お前に愛されるようっ、努力を重ねたっ!!その果てに待っているものが無関心など、もう耐えられるわけがないだろう!!」
「っ、」
「もう、………限界なんだ。別れてくれ、ユティカ嬢」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
完結まで執筆を終えています。
次の話は10分後更新です!!
華々しい有終の美を飾るはずであった王立学園の卒業パーティーの終盤で、事件は起きた。
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「理由を、お聞かせ願っても………?」
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「………………あい、さなぃ………」
レオナルドの切れ長の真紅の瞳に、僅かな絶望と侮蔑、そして寂寥が渦巻く。
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「そ、………そんなっ、」
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「っ、」
「もう、………限界なんだ。別れてくれ、ユティカ嬢」
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次の話は10分後更新です!!
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