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「それにしてもぉ、父上のお気に入りちゃんがここまで可愛い子だとは夢にも思わなかったよぉ。ふわふわの猫さんみたいだぁ」
「………お褒めに預かり光栄です」

 深々と頭を下げると、宰相さまのご子息さまはご機嫌が良くなったようにペラペラと聞いてもいないことを話し始める。

「君、宝石の鑑定ができるんだって?すごいねぇ」
「ありがとう存じます」
「でもそれってぇ、———女に必要なことぉ?」
「っ、」
「可哀想にぃ。アイリーン男爵家なんかに生まれちゃったから、無理矢理やらされてたんでしょ?おかげで旦那さまが見つからなかった挙句ぅ、嫁いだ先があの冷酷無慈悲な男とか………、あは!かわいそぉ」

 絶句という言葉は、こういう時のために用意されているのかもしれない。

「君が宝石を捨てるっていうんだったらぁ、僕がもらってあげなくもないよぉ。確かぁ、第8夫人のお席が空いてたはずだからぁ」

 ………彼はどこまでわたしを愚弄したら気が済むのだろうか。

「君ってばめちゃくちゃ可愛いんだものぉ。その生意気で賢そぉなシトリンの瞳がぁ泣きながら光を宿さないように服従させてぇ、僕なしじゃ生きられなくするのぉ。あはっ!めちゃくちゃ気持ちよさそぉ」

 立ち上がりわたしのそばに寄ってきた男は、わたしの頬に、首筋に、ねっとりと触れる。

 気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い、———気持ち、悪い………!!


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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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