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 わたしは横目で僅かにサファイアさんの方を向いて、僅かに驚いた顔で首を横に振る彼女に、王家の持つあまりの情報統制力の高さに舌を巻いた。
 けれど、そんな表情はわずかでも漏れ出してはいけない。

 この場で正しい対応、それは威風堂々何も後ろ暗いことはありませんよって穏やかに、毅然と微笑むこと。

「王太子殿下ならびに王女殿下におかれましては、ご多忙の中お越しくださり大変光栄にございます。なにぶん急なご訪問であったため、十分なおもてなしをすることは叶わないかと思いますが、わたし含め、屋敷にいるもの全てが双殿下を歓迎しております。至らぬ点がございましたら、お気軽にお申し付けください」

 わたしの微笑みに、行動に、王女殿下がギリっと歯を食いしばった。

(ん?)

 わたし、今までの数十秒間で何か彼女の気に触ることをしてしまったかしら。
 旦那さまの事を若干放置しながら内心でヒヤヒヤと汗をかいているわたしは、けれど次の瞬間、無表情に近い冷徹な表情でわたしの目の前に寄ってきた旦那さまに、意識を向けなければならなくなった。

「なぜそんな見窄らしい格好をしている」

 ———カチンっ、

 頭の中で何かの糸が切れるような音がして、わたしはにっこりと微笑んだ。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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