完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛

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番外編 アフォガートのたたかい方

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▫︎◇▫︎

 次に目が覚めた時、屋敷中のあまりの騒々しさに俺は眉を寄せた。

「なにが………、」

 小さく呟いた声は誰にも聞かれていないが、慌てて自らの口元を押さえた。

「初めましてっ、エスプレッソさま!!わたくし、モカの妹のラテって言いますっ!!」

 扉の先で聞こえる声に一瞬思案したアフォガートは、すぐによろよろとした足取りで部屋の外に向かう。
 そこにはこの屋敷にいるありとあらゆる使用人とラテ、カプチーノ、身なりの良い美青年、そしてアフォガートが過去にプレゼントしたアフォガートの色の服を身につけたモカがいた。

『アート………、』

 彼女のくちびるが小さく動き、俺の名を呼んだ。

 恋焦がれるように、愛おしく大切なものを呼ぶかのようなくちびるの動きに、アフォガートの心はそれだけで満たされた。

「ラテ嬢、あなたに一目惚れいたしました。どうか私の妻になっていただけませんか?」
「えっ!?でも、あなたはお姉様の婚約者でっ!!」
「そんなことは関係ありません。私は自らの欲望に従って動きます。ラテ嬢は見た目がよく仕事こそできますが、あなたのような愛想がありません。たった1日過ごして分かりました。私は、モカ嬢とは幸せな家庭を作ることができない。けれど、あなたとなら作れる。私の目指す、幸せな家庭を………!!」

 ………この男とんでもないな。

 たった数十秒間の会話で悟りを開いたアフォガートは、昨日まで妻であった女が彼との婚姻を結んだ時に浮かべていた表情を浮かべているのを見て、そして、モカの瞳の奥に小さな希望が宿っているのを見て、彼女の強さに惚れ惚れとした。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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