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2章 魔導院で働いてみましょう
4話 愉快な仲間たち
しおりを挟む「イリス、片付け終わったか?同室のやつ連れてきたぞ。」
カイルさんがイリス様に声をかけながら入っていき、ワタシの荷物をソファーに置く。それにお礼を言いながらワタシも部屋に入った。
寮の部屋とは思えないぐらい広く、簡易キッチンとトイレ、お風呂も部屋についているようだった。
部屋の中央にはローテーブルを囲うようにソファーが2つあり、それを対象の軸にしてほぼ左右対称にベッドとデスクセットと棚が2つ、それぞれ置かれている。その右側をイリス様が使っていた。
「はじめまして、イリス様。イオと申します。ワタシのことはあまり気にせず1人部屋のようにお使いください。気配をけす努力はいたします。」
カイルさんに促されたので丁寧にあいさつをする。会ったのは初めてじゃないけど、初めてあった体で。
「…イリス。別にいい、同室を許可したのは俺だ。」
おお、長文。
「まあ、仲良くやれよ。片付け終わったなら他のやつら紹介するから、研究室のほういくぞー。」
この上司、すごい軽いな。まあ変に暗かったりうざかったりするよりは全然いいけど。
ワタシは荷物がドクターバッグ1つなので、そのままベッドの上に放っておしまいにしたが、話している間も片付けを続けていたイリス様と、その執事さん。
終わったのを確認してから部屋に鍵をかけ研究室に向かう。
鍵は計3つあって1つをワタシ、もう1つをイリス様、最後の1つが室長であり寮長でもあるカイルさんが持つことになっている。
執事さんは片付けと荷運びのために来ていたらしく、これで本邸に帰るらしい。
「正面からも入れるけど、寮からだと裏扉から入った方が近いからこっち使うといいよ。」
そういって研究室の扉をあけるカイルさん。そこは、書類やアクセサリー類が散らばった部屋だった。ソファーや簡易キッチンもあり、休憩スペースとなっている。地下にも部屋があるらしく、床には穴があき、階段が見えていた。
「おーい、新人連れてきたぞ。集まれー。」
カイルさんが呼び掛けると、3人の男女が集まってきた。
「えー、俺はいいよな。さっき自己紹介したし。俺に近い方から、副室長のレイモンド、カミーユ、サラだ。」
簡単に、さらっと紹介される。
「レイモンドだ。気軽にレイと呼んでくれ。これからよろしくな。」
切れ長の青目にきれいに整えられた暗い緑色の髪の理知的な人。銀縁のメガネがさらに賢そうにみえる。長身細身で、かっこいい。
「私はカミーユ。見ての通りエルフだよ。まあハーフだけどね。よろしく。」
中性的な…男性?エルフ、はじめてみました!!尖った耳に中性的な顔立ちの美人。色素が全体的にうすく、白い肌に綺麗な淡い金髪、同色の瞳。とても綺麗な人だった。
「サラ。こんな見た目だがこの中だと一番年上じゃ。よろしゅうな。」
古風なしゃべり方な美人さん。この中唯一の女性だった。黒髪にサーモンピンクの瞳。黒髪だよ黒髪!日本人の記憶があるとすごく懐かしく感じる。サラッサラの髪は腰までのばしてあり、日本人形を連想させる。若々しく、パッと見何歳か分からない。身長も低く、古風なしゃべり方とはミスマッチのように感じるかもしれないが、それすらもこの人の魅力なのだと思う。
「イオです。よろしくお願いいたします。レイモンドさん、カミーユさん、サラさん。」
名乗ってなかったのを思い出し、あわててあいさつをする。
「…もう会ってるからいいだろ。レイ、カミーユ、サラ。」
おや、イリス様はもう知り合いでしたか。
「相変わらずだのぅ、坊は。」
クスクスと笑うサラさん。待ってすごい疎外感。
「イオももっと気楽でいいぞ。疲れるだろ?」
「イオ嬢、サラちゃんと呼んでくれてもよいのじゃぞ?」
「イオさん、気軽に話してくれていいんだよ。」
あ、気を使われた感。ごめんなさい、ありがとうございます。
「…ワタシは口が悪いぞ。育ちが悪いからな。」
設定だけど。気を使ってくれたのにごめんなさい。
「変にかしこまられるよりはいいよ。」
「じゃあ、そうさせてもらう。よろしくな。…だがさん付けはいいだろう?カイルさんもそうだしな。」
「俺はいいって言ったんだけどなー。今からでもいいぞ、呼び捨てで。」
カイルさんが、言うのに続けて他の人たちも呼び捨てでいいと言ってくる。ごめんオーリ。あなたもこんな気持ちだったのね。
「分かった、分かったよ。よろしく、カイル、レイ、カミーユ、サラ…ちゃん。」
サラのあとに、キラキラした目で見られたので、ちゃんをつけると、満足げに頷かれる。かわいいなこの人。
「…俺も、呼び捨てでいい。」
ぽつりと呟くイリス様。
「むりですむりです!公爵子息様を呼び捨てなんて…おそれ多いです。」
ワタシとしてもわたくしとしても、イリス様を呼び捨てするとか、勇気がいる。だって、公爵子息だよ?しかも長男。次期公爵。むりですっておそれ多い。
「ここでは地位も何もないんだろ、別にいい。」
少しむすっとしながら言うイリス様。いちいちかわいい。少しずつ表情を見せてくれるのも嬉しい。知り合いが他にもいるからかもしれないけど。
「…じゃあ、イリスくんで、お願いします。」
妥協。オーリもきっとこんな気持ちだったのだろうか。いや、わたくしにあんなかわいさはないから違うか。
「敬語もいらない。俺にだけ使うのは気にくわない、不自然だ。」
んもう!かわいいんだけど!でも、ご自分の立場を理解してくれ!昔馴染みっぽい他のメンバーはいいかもしれないけど、あったばかりの平民(設定)にはつらいよ。その昔馴染みっぽい人達は微笑ましそうにこちらを見守っている。ぐう…。
「わ、かった。」
まあワタシが折れるしかないんだけどさ!
「よし、いいかな。今日は仕事の簡単な説明したら歓迎会をやろう!仕事は明日からな。」
ワタシが折れ、決着がついたところでカイルがまとめる。
その後、簡単に仕事を説明してもらい、あとは慣れろと言われ、すぐに歓迎会の準備が始まった。
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