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第八章 魔王と転移者
楽しいハーレム生活
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お茶の時間が終わり、庭から城の中へ入ると、獣人の少女クーが猛スピードで目の前を駆け抜けていった。
彼女の通った後には、服や髪飾りなどが点々と落ちている。
「あー、またか。エイダさんの悪い病気が始まったね」
真紀が心得顔で呟く。
エイダとは、王女付きの侍女の名前である。城の入り口から案内をしてくれたのは、彼女であった。
部屋の扉が開き、エイダが顔を出す。
「逃げられましたか……。さすが獣人、素早さは随一です」
残念そうに廊下を見渡す彼女の目がエルシーに止まった。
その目がきらりと光ったような気がした。
「あっ……。やば…………」
真紀の呟きに、どういうことなのかと問いかけようとしたエルシーは、突然腕を掴まれて部屋に引きずり込まれた。
「ふっふっふ……」
閉めたドアを背後に振りかえり、怪しい笑みを浮かべるエイダ。
エルシーは不安を感じた。
まさか、自分の目的に気付いた……にしては、少々緊張感に欠ける気がするのだが。
「別に実害は無いですよ。こうなったら大人しくしておくしかないですね」
真紀がドアを開け、ルビィも一緒に入って来る。
「えっ?どういうこと?」
「さぁ!お楽しみの時間です!」
「えぇー!?ちょっと、何!?」
「ふむふむ。これも悪くないですね」
「…………」
頷くエイダ。
エルシーの前には、全身を映す大きな鏡があった。
鏡の中では、薄桃色の少女が、すみれ色の瞳に当惑の色を浮かべてこちらを見ていた。
今着ているのは、真紀の服に似た上着と、短いスカート。学校の制服らしいのだが、その割には装飾が多く丈が短すぎる。
ルビィが説明した。
「萌え系作品とかギャルゲのヒロインの服ですね」
「こんなに短い服着たことないんだけど……」
エルシーは当惑して短いスカートを下へ引っ張る。
「では、こちらはどうですか?」
返事をする間もなく、すばやく服を着せ替えるエイダ。
次は、少しスカート丈の長めな制服。前よりもデザインは大人しめできちんとした感じがする。
「お嬢様学校の制服ですね。やはり、そっちも似合ってますよ!」
楽しそうなエイダ。
真紀があきれ顔をしつつも興味深そうに見ている。
「そういう格好をしてると、よくあいつが見てるアニメのヒロインみたいだね」
「ふふふ、こっちはどうでしょう?」
「え?こういうのは割と好きだけど……こんなに短くなければ」
着せてくれる服は可愛いものが多いのだが、全体的に丈が短かったり、体を覆う部分が少なかったりするのが問題だった。
気が付けば、ルビィも同じような服を着せられている。
「あら?もうすぐ夕食の時間ですね。では、食堂へ行きましょうか!」
「この格好で!?」
エイダに引きずられ、魔法少女のまま食堂へ向かうエルシーとルビィ。
真紀も彼女達の後について歩きだす。
魔法少女の恰好で夕食のテーブルに着く羽目になった。
エルシーはピンク、ルビィは赤のお揃いの衣装である。
髪は頭の両側で二つに分けて真紅のリボンで結んである。リボンにはキラキラ光るハート型の飾りがついていた。
「まぁ、素敵ですね」
「……ありがとうございます」
王女の賛辞に複雑な微笑を浮かべて礼を述べるエルシー。
他の女の子達は慣れた様子で褒めてくれたり、何事も無かったように食事に取り掛かったりしている。
エイダは何事も無かったかのように、模範的な侍女らしい態度で給仕を務めていた。
「一之様から連絡がありました。もうすぐお戻りになるそうです!」
頬を紅潮させ、嬉しそうな顔でセシリア王女は告げた。
「カズユキ、帰ってくる!?うれしい!!」
クーが耳をぴこぴこ動かして、満面の笑みで叫ぶ。
「やっと会えるのね!」
「もう長いこと会ってない気がするよ!」
他の女の子達も口々に喜びを口にする。
「あー、帰ってくるんだ。最近、中々遠出もできないってぼやいてたから、もっとゆっくりしていけばいいのに」
真紀は何気ない調子で言ったが、嬉しさを隠しきれなかった。
「素直じゃないわね、貴女は」
アデラインがからかった。真紀は「違うってば」と顔を赤くしながら答える。
(さすがハーレムの主ですね。皆洗脳されてます)
(ここまで好かれるような人には思えないけど)
エルシーとルビィはこっそり話し合うのだった。
(彼らが戻るまでに退散した方が良さそうですね。明らかに誘導である以上、勇者が来るまで戻りはしないと思いますけど)
「あなたもやっと一之様とお近づきになれるのね。良かったわ!」
「えぇ、楽しみだわ」
罪の意識を感じつつ、エルシーは答えた。
予想外に楽しく過ごしていたが、自分は彼らの敵である勇者に会うために来たのだ。
バートランドに迷惑がかからないように、自分の身も守らなければ。
彼女の通った後には、服や髪飾りなどが点々と落ちている。
「あー、またか。エイダさんの悪い病気が始まったね」
真紀が心得顔で呟く。
エイダとは、王女付きの侍女の名前である。城の入り口から案内をしてくれたのは、彼女であった。
部屋の扉が開き、エイダが顔を出す。
「逃げられましたか……。さすが獣人、素早さは随一です」
残念そうに廊下を見渡す彼女の目がエルシーに止まった。
その目がきらりと光ったような気がした。
「あっ……。やば…………」
真紀の呟きに、どういうことなのかと問いかけようとしたエルシーは、突然腕を掴まれて部屋に引きずり込まれた。
「ふっふっふ……」
閉めたドアを背後に振りかえり、怪しい笑みを浮かべるエイダ。
エルシーは不安を感じた。
まさか、自分の目的に気付いた……にしては、少々緊張感に欠ける気がするのだが。
「別に実害は無いですよ。こうなったら大人しくしておくしかないですね」
真紀がドアを開け、ルビィも一緒に入って来る。
「えっ?どういうこと?」
「さぁ!お楽しみの時間です!」
「えぇー!?ちょっと、何!?」
「ふむふむ。これも悪くないですね」
「…………」
頷くエイダ。
エルシーの前には、全身を映す大きな鏡があった。
鏡の中では、薄桃色の少女が、すみれ色の瞳に当惑の色を浮かべてこちらを見ていた。
今着ているのは、真紀の服に似た上着と、短いスカート。学校の制服らしいのだが、その割には装飾が多く丈が短すぎる。
ルビィが説明した。
「萌え系作品とかギャルゲのヒロインの服ですね」
「こんなに短い服着たことないんだけど……」
エルシーは当惑して短いスカートを下へ引っ張る。
「では、こちらはどうですか?」
返事をする間もなく、すばやく服を着せ替えるエイダ。
次は、少しスカート丈の長めな制服。前よりもデザインは大人しめできちんとした感じがする。
「お嬢様学校の制服ですね。やはり、そっちも似合ってますよ!」
楽しそうなエイダ。
真紀があきれ顔をしつつも興味深そうに見ている。
「そういう格好をしてると、よくあいつが見てるアニメのヒロインみたいだね」
「ふふふ、こっちはどうでしょう?」
「え?こういうのは割と好きだけど……こんなに短くなければ」
着せてくれる服は可愛いものが多いのだが、全体的に丈が短かったり、体を覆う部分が少なかったりするのが問題だった。
気が付けば、ルビィも同じような服を着せられている。
「あら?もうすぐ夕食の時間ですね。では、食堂へ行きましょうか!」
「この格好で!?」
エイダに引きずられ、魔法少女のまま食堂へ向かうエルシーとルビィ。
真紀も彼女達の後について歩きだす。
魔法少女の恰好で夕食のテーブルに着く羽目になった。
エルシーはピンク、ルビィは赤のお揃いの衣装である。
髪は頭の両側で二つに分けて真紅のリボンで結んである。リボンにはキラキラ光るハート型の飾りがついていた。
「まぁ、素敵ですね」
「……ありがとうございます」
王女の賛辞に複雑な微笑を浮かべて礼を述べるエルシー。
他の女の子達は慣れた様子で褒めてくれたり、何事も無かったように食事に取り掛かったりしている。
エイダは何事も無かったかのように、模範的な侍女らしい態度で給仕を務めていた。
「一之様から連絡がありました。もうすぐお戻りになるそうです!」
頬を紅潮させ、嬉しそうな顔でセシリア王女は告げた。
「カズユキ、帰ってくる!?うれしい!!」
クーが耳をぴこぴこ動かして、満面の笑みで叫ぶ。
「やっと会えるのね!」
「もう長いこと会ってない気がするよ!」
他の女の子達も口々に喜びを口にする。
「あー、帰ってくるんだ。最近、中々遠出もできないってぼやいてたから、もっとゆっくりしていけばいいのに」
真紀は何気ない調子で言ったが、嬉しさを隠しきれなかった。
「素直じゃないわね、貴女は」
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(さすがハーレムの主ですね。皆洗脳されてます)
(ここまで好かれるような人には思えないけど)
エルシーとルビィはこっそり話し合うのだった。
(彼らが戻るまでに退散した方が良さそうですね。明らかに誘導である以上、勇者が来るまで戻りはしないと思いますけど)
「あなたもやっと一之様とお近づきになれるのね。良かったわ!」
「えぇ、楽しみだわ」
罪の意識を感じつつ、エルシーは答えた。
予想外に楽しく過ごしていたが、自分は彼らの敵である勇者に会うために来たのだ。
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