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第七章 二人の聖女
黒幕登場
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星空を背景に、「異世界荒らし」ヴィクトリーヌは傲然と二人を見下ろしていた。
その金色の瞳が嘲笑を浮かべて、ルビィに向けられる。
「お久しぶりですこと。あれだけ走り回ったのに、あたくしを止めることができなかったようですわね」
ルビィは不敵な笑みを浮かべた。
「ここまで来てやっと具現化ですか。未だにヒロイン一人も破滅させられないことを反省してはどうですか?」
「知り合いなの?」
エルシーはルビィを振りかえった。ルビィは『異世界荒らし=ヴィクトリーヌ』を睨みつけたまま答えた。
「前に一度戦ったことがあります。もちろん、私が勝ちましたがね。だからこそ、この世界の女神様は私を呼んだんです」
ヴィクトリーヌは鼻で笑う。
「ふん、偶然と幸運が重なっただけではありませんの。あたくしの方が、ちっぽけな妖精などよりもずっと力が強いのですものね」
ヴィクトリーヌはエルシーの方に目を向けた。
「破滅もせず、しぶとく生き残っていますこと。貴女のために最高の舞台を用意して差し上げましたのに。貴女のものではなく、アイリーンのための世界にするためにね」
「貴女が私達の世界を台無しにしたのね!」
「当然ですわ、設定書き換えなんて大技、そうそう使えるものではないのですもの。どうでしたかしら、あらゆる人がアイリーンを愛し、貴女を憎んでいた世界は?逆ハーレムを目の前で見せつけられる気分はどう?」
得意げに尋ねるヴィクトリーヌ。
エルシーは微笑した。
「お姉様は別に楽しそうではありませんでしたけど。シミオン子爵のようにおかしな人もいましたし」
ルビィは思案顔で言った。
「何であんな電波になったんでしょう。強引な洗脳でもしたんじゃないですか?」
ヴィクトリーヌはつんと頭をそらし、憤慨した口調で言った。
「失礼ですわね。ちょっと思想矯正したらバグってしまっただけですの。ヒロインを追い出すくらい、このあたくしにかかれば造作もない事ですわ。だけど、まさか貴女が二人目の聖女になっていたとはね」
ヴィクトリーヌは凍りつくような冷たい目でエルシーを見据えた。
エルシーは冷静な表情で彼女を見返す。
「貴女が聖女を消したのね」
「そうですとも!聖女を消して、世界が崩壊の危機に瀕した時に、異世界から悪役令嬢を送り込む計画だったのですわ!最強チート悪役令嬢さえいれば、ヒロインなど不要!新しい聖女と崇められるのは当然の事、全てが終わった後でのこのこ戻ってきた聖女は悪役令嬢に何もかも奪われ、役立たずとして捨てられる!見事なざまぁ展開になるはずでしたのに!」
ヴィクトリーヌは無念の面持ちだ。
ルビィはにやりと笑った。
「それは残念でしたね」
「消えたはずの聖女が戻ってきたから、強制力でシナリオ終了まで手出しができないものと思いましたわ。仕方ないから、漫画世界を征服するのに集中して、ゲームが終わるのを待っていましたのよ。そのうちに、消した前の聖女が戻ってくるのがわかりましたわ。それで聖女が別人に変わったのに気づいたんですの」
「だから好感度リセットしたわけですね」
ルビィの鋭い口調に、ヴィクトリーヌは憤慨した様子で叫んだ。
「そうですとも!破滅すべきヒロインがこともあろうに聖女になって、逆ハーやってるなんて許せませんわ!ですから、とびっきりの罠を用意して差し上げましたのよ。偽の聖女として断罪されるのを期待していましたのに」
残念そうに呟くヴィクトリーヌに、ルビィはすまし顔で言った。
「本物のヒロインは貴女のように嫉妬深い生き物ではありませんからね。共存ぐらいできますよ」
ヴィクトリーヌはふんと鼻を鳴らした。
「偽善者同士仲良くできるというわけね。だけど貴女、このままで良いと思っておりますの?聖女の座もその力も、王妃の座だって他の女に奪われますのよ?世界を救ったのは貴女だというのにね。もう一人の聖女を追い落とすのに協力してくれるのなら、新しい世界に居場所を用意して差しあげてもよろしくてよ」
「そんなもの、いらないわ」
エルシーは冷たく答える。
「あらそう。後悔しないといいですわね」
ヴィクトリーヌは軽蔑するように笑うと、今度はルビィに向き直った。
「貴女の願いは、女神になることでしょう?あたくしの力があれば、その夢、叶えてあげられますわ」
ルビィは嘲笑した。
「そして、永遠に貴女の下僕としてこき使われるというわけですか。お断りしますよ、もう報酬も頂いたことですしね。万が一のためと言って、女神様が先払いで渡してくれましたから」
そして、真剣な顔でルビィは語る。
「だいたい私はヒーローとヒロインの味方なんです。そちら側には付きません。これでも自分の仕事に誇りを持っていますからね。女神の座ぐらい、自力で手に入れます!」
「ありがとう、ルビィ」
エルシーが微笑む。
ルビィが気合を入れた。
「最後まで気を抜かずに戦いますよ!」
「あたくしにかなうはずがないのに、滑稽ですこと。さて、どう料理して差し上げましょうか?」
ヴィクトリーヌが片手をゆっくりと差し上げた時、慌ただしい足音がして、バルコニーに数人の人々が駆け込んだ。
「そこまでだよ!」
聖女菜々美が彼らの先頭で、威勢よく声を張り上げる。
その金色の瞳が嘲笑を浮かべて、ルビィに向けられる。
「お久しぶりですこと。あれだけ走り回ったのに、あたくしを止めることができなかったようですわね」
ルビィは不敵な笑みを浮かべた。
「ここまで来てやっと具現化ですか。未だにヒロイン一人も破滅させられないことを反省してはどうですか?」
「知り合いなの?」
エルシーはルビィを振りかえった。ルビィは『異世界荒らし=ヴィクトリーヌ』を睨みつけたまま答えた。
「前に一度戦ったことがあります。もちろん、私が勝ちましたがね。だからこそ、この世界の女神様は私を呼んだんです」
ヴィクトリーヌは鼻で笑う。
「ふん、偶然と幸運が重なっただけではありませんの。あたくしの方が、ちっぽけな妖精などよりもずっと力が強いのですものね」
ヴィクトリーヌはエルシーの方に目を向けた。
「破滅もせず、しぶとく生き残っていますこと。貴女のために最高の舞台を用意して差し上げましたのに。貴女のものではなく、アイリーンのための世界にするためにね」
「貴女が私達の世界を台無しにしたのね!」
「当然ですわ、設定書き換えなんて大技、そうそう使えるものではないのですもの。どうでしたかしら、あらゆる人がアイリーンを愛し、貴女を憎んでいた世界は?逆ハーレムを目の前で見せつけられる気分はどう?」
得意げに尋ねるヴィクトリーヌ。
エルシーは微笑した。
「お姉様は別に楽しそうではありませんでしたけど。シミオン子爵のようにおかしな人もいましたし」
ルビィは思案顔で言った。
「何であんな電波になったんでしょう。強引な洗脳でもしたんじゃないですか?」
ヴィクトリーヌはつんと頭をそらし、憤慨した口調で言った。
「失礼ですわね。ちょっと思想矯正したらバグってしまっただけですの。ヒロインを追い出すくらい、このあたくしにかかれば造作もない事ですわ。だけど、まさか貴女が二人目の聖女になっていたとはね」
ヴィクトリーヌは凍りつくような冷たい目でエルシーを見据えた。
エルシーは冷静な表情で彼女を見返す。
「貴女が聖女を消したのね」
「そうですとも!聖女を消して、世界が崩壊の危機に瀕した時に、異世界から悪役令嬢を送り込む計画だったのですわ!最強チート悪役令嬢さえいれば、ヒロインなど不要!新しい聖女と崇められるのは当然の事、全てが終わった後でのこのこ戻ってきた聖女は悪役令嬢に何もかも奪われ、役立たずとして捨てられる!見事なざまぁ展開になるはずでしたのに!」
ヴィクトリーヌは無念の面持ちだ。
ルビィはにやりと笑った。
「それは残念でしたね」
「消えたはずの聖女が戻ってきたから、強制力でシナリオ終了まで手出しができないものと思いましたわ。仕方ないから、漫画世界を征服するのに集中して、ゲームが終わるのを待っていましたのよ。そのうちに、消した前の聖女が戻ってくるのがわかりましたわ。それで聖女が別人に変わったのに気づいたんですの」
「だから好感度リセットしたわけですね」
ルビィの鋭い口調に、ヴィクトリーヌは憤慨した様子で叫んだ。
「そうですとも!破滅すべきヒロインがこともあろうに聖女になって、逆ハーやってるなんて許せませんわ!ですから、とびっきりの罠を用意して差し上げましたのよ。偽の聖女として断罪されるのを期待していましたのに」
残念そうに呟くヴィクトリーヌに、ルビィはすまし顔で言った。
「本物のヒロインは貴女のように嫉妬深い生き物ではありませんからね。共存ぐらいできますよ」
ヴィクトリーヌはふんと鼻を鳴らした。
「偽善者同士仲良くできるというわけね。だけど貴女、このままで良いと思っておりますの?聖女の座もその力も、王妃の座だって他の女に奪われますのよ?世界を救ったのは貴女だというのにね。もう一人の聖女を追い落とすのに協力してくれるのなら、新しい世界に居場所を用意して差しあげてもよろしくてよ」
「そんなもの、いらないわ」
エルシーは冷たく答える。
「あらそう。後悔しないといいですわね」
ヴィクトリーヌは軽蔑するように笑うと、今度はルビィに向き直った。
「貴女の願いは、女神になることでしょう?あたくしの力があれば、その夢、叶えてあげられますわ」
ルビィは嘲笑した。
「そして、永遠に貴女の下僕としてこき使われるというわけですか。お断りしますよ、もう報酬も頂いたことですしね。万が一のためと言って、女神様が先払いで渡してくれましたから」
そして、真剣な顔でルビィは語る。
「だいたい私はヒーローとヒロインの味方なんです。そちら側には付きません。これでも自分の仕事に誇りを持っていますからね。女神の座ぐらい、自力で手に入れます!」
「ありがとう、ルビィ」
エルシーが微笑む。
ルビィが気合を入れた。
「最後まで気を抜かずに戦いますよ!」
「あたくしにかなうはずがないのに、滑稽ですこと。さて、どう料理して差し上げましょうか?」
ヴィクトリーヌが片手をゆっくりと差し上げた時、慌ただしい足音がして、バルコニーに数人の人々が駆け込んだ。
「そこまでだよ!」
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