バケモノ姫の○○騒動

長野 雪

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バケモノ姫の毒殺騒動

5.満身創痍の心模様

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 陽光は生い茂る木の葉に遮られ、風に揺れるようにその形を変えていた。水のせせらぎは聞く者の心を潤し、木々の間を渡る爽やかな風に、ここを訪れる人は俗世を忘れて微笑みあう。

(――そういう場所よね、ここは)

 少し離れた場所では、リカッロの軍馬が草を食んでいる。木につないでもいないのは、信頼の証なのだろうか。
 昨日、くるみタルトの毒性を確かめたピクニック場。そこにある休息所に腰掛けているユーディリアの手元には、一振りの剣があった。逆側には先ほど完食した昼食の入っていたバスケット。さらにバスケットを挟んでリカッロが座っていた。

「……そろそろ落ち着いたか?」

 ここへ来るまで、それこそ必要最低限しか話しかけて来なかった彼の言葉に、ユーディリアは目を丸くした。
 ここへ連れて来たのも、わざわざ予備の剣をユーディリアに持たせたのも、まるでピクニックのようにここで昼食を取ったのも、まさか自分を落ち着かせるためだったとでも言うのだろうか。

(いや、まさか、ね)

 だが、どうやら、そのまさかだったらしい。

「ここまで来れば、誰の目も耳もない。本音を出せ」
「本音、ですか?」

 せっかく忘れていたのに思い出させるな、と思いつつ、ユーディリアはそらっとぼけた。
 すると、不機嫌な表情を浮かべたリカッロがユーディリアの頬に手を伸ばす。

「やせ我慢はやめろ」

 どうやらバレバレらしい、と観念したユーディリアは、そっとリカッロの手に自分の手を重ねた。

「どうして、分かりますの?」
「命を狙われて怖くない奴はいねぇ。――オレも、丁度、軍を立ち上げた頃に、暗殺者に襲われてすげぇビビった」

 リカッロは空いている手でバスケットを足元に下ろすと、ぐいっと距離を詰めて座って来た。

「あの時は、剣を片時も放したくなくて、寝るときも抱えて寝てた」

 思いがけない過去の告白に、ユーリディアの目がホッと和んだ。

「わたしが不甲斐ないせいではありませんのね。……誰でも、同じですのね」

 目の前のリカッロも自分と同じような気持ちだった時があると知って、少しだけ恐怖が落ち着いた。

「中庭の件があって、もしかしたら命が目的ではないと思ったのですけど、違いましたのね。……そうでした、タルトの毒はどのようなものでしたの?」
「――ザッカードの話じゃ、致死毒じゃねぇみたいだな」

 リッキーの言う通りだった、と彼を探せば、ずいぶん遠くで木の根元でしゃがんでいる後姿が見えた。大方、キノコでも見つけたのだろう。

「おそらく、動揺させたところで、鋼糸こうしを使って仕留める気だったんだろうがな」

 リカッロが何気なく口にした「仕留める」という言葉に、ユーディリアの身体がびくっと震えた。
 強張った表情に、恐怖の揺り戻しが来たのだと悟ったリカッロは、ぐいっと彼女を引き寄せ、そのまま抱きしめた。

「心配すんな。オレのもんに手出しはさせねぇよ」

 あまりに直接的なそのセリフに、ユーディリアは顔を赤らめた。抱きしめられている状態で、表情が見えないのは幸運だったと思う。

(絶対、今、顔赤いわよね……)

 何とか火照ほてりを沈めようと、顔の向きを変えたユーディリアは、再び身体を凍りつかせた。

「大丈夫か?」

 心配してくれるリカッロの声も耳に入らなかった。
 彼女の目の先には、黒っぽい装束を着た男が、木の陰に隠れるようにして立っていたのだ。リカッロの部下であるなら、隠れる必要なんてない。

「将軍……」

 自分の腕の中で心細げに呟いたユーディリアに「なんだ?」と言葉を上手く聞き取れなかったリカッロが聞き返す。

「……わたしの視線の先に、見知らぬ男が」

 ユーディリアの口を借り、将軍が危険を伝える。抱きしめられた体勢のまま、その手が横に置いた剣に伸びていた。

「――三つ数えたら動く。オレのそばを離れるんじゃねぇぞ」

 いち。ユーディリアの手が剣の柄に触れた。

 に。主導権を将軍に渡したユーディリアが緊張のあまりお腹を痛くする。

 さん!

 自らの剣を抜き払ったリカッロは、ユーディリアの手首を掴み、ユーディリアの示した見知らぬ男の方へ駆け出す。
 将軍は、手首を掴まれた状態に不便さを感じながらも、周囲を見渡して―――

「後ろに新手!」

 叫ぶなり、リカッロの手を振り払った。ユーディリアの注文にしたがって、ジジくさい言葉遣いをしないように気をつけているため、つい文末を省略してしまう。
 足を止めたリカッロと背中合わせに立つのと、「くそったれ!」と彼が悪態をついたのは、ほぼ同時のことだった。

(そんな、四人もいたなんて……)

 似たような黒っぽい装束の男たちに囲まれ、ユーディリアが悲鳴を上げた。遠くでリカッロの愛馬が逃げ去るのが見えた。本来、馬は臆病な性格だ。こんな場所で平然としていられる方がおかしい。だが、逃げ道が絶たれてしまった。

「でしゃばるな、と言いたいが、無理だろうな」

 あくまでユーディリアを守ろうとするリカッロの言葉に、将軍の頭に血が昇る。

「そんな悠長なことを……!」

 言っている場合か!と口に出さず、短剣で切りかかってきた刺客に、剣の鞘を投げつけると、一瞬怯んだ相手の鳩尾みぞおちに柄を叩き込んだ。
 短剣の不気味な輝きに毒を塗られていると判断するなり、将軍は声を張り上げる。

「余裕がない、殺すぞ!」

 それはリカッロとユーディリア両方への意思表示だった。
 ユーディリアが待ってと言う間もなく、将軍の剣がくの字に身体を折り曲げた男の喉を掻き斬り、続いて襲って来た二人目の刺客に肉薄する。
 そんな姫君の予想外の働きに対応が遅れた二人目の刺客が、押されて大きくバランスを崩した。その隙を将軍が見逃すはずはない。躊躇なく胴をなぎ払い、倒れた所に冷静にとどめを刺す。

 将軍が振り返った時、リカッロは刺客と切り結んでいた。草の中に倒れている影があるところを見ると、それが最後の一人らしい。
 将軍は、足音を消すと、リカッロと鍔迫り合いをしている刺客の背後から近寄り、短剣を持った刺客の右腕を一刀のもとに切り落とした!

「なっ……」

 あざやかに骨ごと断ってみせた剣筋に目を奪われたリカッロが何かを言うより早く、切り落とした右腕から短剣を奪い、凝視する。

「毒が塗られているな」

 もはや完全にユーディリアのものでない口調に、本来注意を促すはずの彼女は、自分に伝わって来た、人の肉を絶つ感触に震え怯え、何も言えないでいた。

「お前……」

 リカッロの怪訝な声に、将軍はようやく失敗を悟り、どう言い繕おうかと考えて、……足に力を込めた!
 彼の目はリカッロの向こうに見える納屋の屋根、そこで矢をつがえる刺客に注がれていた。
 駆け出そうとする姫君の視線に気付いたか、刺客の手から矢が離れる。

「くっ!」

 この華奢な身体では、思うように力を振るえない。そう歯噛みしながらも、リカッロの脇に滑り込んだ将軍が、飛んで来た矢を片手で切り落とした! 二つに折れた矢じりが弾け、ユーディリアの頬に浅い傷をつける。
 だが、頬に走った痛みに構わず、将軍は手にしていた短剣を射手に向かって投げ打った。身をよじって避けようとした射手だが、その肩口に短剣が突き刺さり、納屋の屋根から転がり落ちた。

 色々と、予想を上回る働きに唖然とするリカッロを置いて、もう敵がいないことを確認した将軍は、さらさらと流れる小川に足を向けた。

『……』

 ユーディリアは何が起きたのかを理解できず、理解したくもなくて、ひたすらに沈黙している。
 将軍は、小川の水をすくうと、頬についた傷を軽く洗う。そして、前触れなく、身体の主導権を返した。

『毒が塗られていたかどうかは分からないが、早く洗い流すに越したことはないじゃろう』
「……」

 ユーディリアは、将軍の行動を真似るように、もう一度頬の傷を洗い流した。

『もう敵の気配もないようじゃ。まぁ、また何かあれば、身体を借りよう』

 敵。その言葉に、ユーディリアの身体が小刻みに震えだした。

(い、や……)

 主導権を与えていてもなお、その五感はユーディリア自身のものだ。それがこれほど恨めしいとは思わなかった。
 手の中に残るのは、刺客の首を、胴を斬った感触。そして腕を切り捨てた時に手の中に伝わってきた鈍い軋み。あれは骨を断つ感触だと分かってしまった自分が憎らしい。

「おい……?」

 駆け寄るリカッロに腕を取られても、抱きしめられても、ユーディリアの震えは止まることがなかった。


 ◇  ◆  ◇


 王妃の使っていた部屋で、ユーリは一人、寝台の上で膝を抱えていた。
 外は既に暗く、星が瞬いている。
 いつもならば、とっくに寝ている時間だったが、明りもつけず、ただじっと座っていた。

 人を殺してしまった、その感覚が彼女の精神を高揚させ、眠りに入るのを邪魔しているのだ。

『ねぇ、将軍。何とかならないの?』
『そう言われてもな。こればかりは自分で解決するしかない問題じゃろう』

 散々、慰めの言葉をかけても届かないと分かったベリンダが、将軍に噛み付いたが、返事は微妙。それならば、と彼女は、気の弱いメガネの青年に噛み付いた。

『リッキーも! あんたも男なら、女を慰める手管の一つもないの?』
『じ、自分は、そういうのは、ちょっと……。それに、将軍なら、経験者だし、何か掛ける言葉があるんじゃないかなぁ、って思ってみたり』

 ベリンダとリッキーの視線に、将軍は渋々ユーリに近づいた。

『何を悩んでおるかは予想がつくが、お前が殺したわけではない。儂が殺したんじゃ』

 すると、微動だにしなかったユーディリアが弱々しく首を横に振った。

「将軍に頼んだのはわたし。わたしの身体が殺したとか言う話じゃないのよ。お願いした以上、わたしが殺したのと同じなの」

 将軍は、深々とため息をついた。

『そのセリフは、兵を動かす将の考え方であって、王女の考え方ではないわい』
「それでも、―――それでも、わたしが命令したことには変わりはないわ」

 将軍は肩をすくめると、ベリンダやリッキーの待つ所へ戻った。

『やはり、自分で解決するのを待つしかないのぅ』
『ちょっと、何弱気になってんのよ……なに?』

 将軍に人差し指を立てられ、ベリンダは言葉を止めた。

『どうやら適役のお出ましじゃ。儂らは隠れて様子を見ておこうではないか』
『あ、もうそんな時間なのね。でも、うん、任せるしかないか』

 闇の中、三人の影が霧を散らしたようにかき消えた。
 カツカツカツと近づいてくる足音の主は、ノックもせずに扉を開けた。真っ暗な室内に、ユーディリアはもう寝てると思い、手早く寝巻きに着替え、寝台へ向かう。

「っ!」

 寝台に座り込むユーディリアに驚き、手燭の炎が大きく揺れた。

「お前、まだ起きてたのか?」

 枕元に剣を立てかけ、手燭をナイトテーブルに置く。
 抱えた膝に顔を埋めていたユーディリアが、緩慢な動作で彼を見上げた。

「今日は、先王陛下の使っていた部屋で休むのではありませんでしたの?」
「あぁ、ボタニカに、セットで居た方が守りやすいと言われたからな」

 明日も早い、お前もとっとと寝ろ、という遠慮ない言葉に、ユーディリアはのそのそと横たわる。
 その向こう、寝台に立てかけられた剣を見て、リカッロは苦笑した。だが、自分もすぐに布団にもぐりこむ。

「刺客が怖いか?」

 尋ねれば、まっすぐ天井を見上げていたユーディリアは「そうですね」と返事をした。もそもそと動く気配に、ちらりと様子をうかがえば、布団から取り出した自分の手をまじまじと見つめている。

「あぁ、そうか……」

 その行動に閃くもののあったリカッロが、嘆息した。

「人を斬り殺したのは初めてか?」
「……えぇ」

 消え入りそうな肯定の言葉に、リカッロは冷たい彼女の身体を引き寄せた。

「忘れろとは言わねぇ。その代わり、人を斬らなきゃいけなくなるような状況を作らねぇように考えろ」

 そのセリフに、ユーディリアは目を大きく見開いてリカッロを見つめた。
 あれは暗殺者だからと。返り討ちにしても仕方ないのだと。そう後ろめたい思いを消そうとしていたユーディリアにとって、思いがけない言葉だったのだ。

「やっちまったもんは仕方ねぇ。後はそれをどう次に生かすか、だ。そうだろ?」

 それこそ穴の開くほど、燭台に照らされ影になったリカッロの顔を見つめたユーディリアは、しばらくして、ぽつり、と呟いた。

「どうしていつも、一番欲しい言葉を、的確に下さるんでしょう?」

 バケモノではなく、単なるじゃじゃ馬だと言われた時もそうだった。

「オレも通って来た道だからな」

 リカッロは腕の中の「かつての自分」に言い聞かせるように、昔話を始めた。

―――初めて、人を殺めたのは十四歳の頃。仕事のいざこざから口論、果てはケンカに発展して殴り殺してしまった。
 下町で働く人間には、そういった経験を持つ者は珍しくない。そう自分に言い聞かせ、何も考えずに帰宅したリカッロだったが、母親の待つ家へ帰った時、とてつもない恐怖を感じた。

「あいつは、他の誰かにとっちゃ、オレにとっての母親みたいな存在だったんじゃないか、ってな」

 自分にとっては、単なる諍い相手だが、そんな人間にも家族はいるはずだ、と。

「……それで、どうなさったんですの?」
「母親にはとても話せることじゃねぇ。だが、平然ともしてられなかった。結局、仕事があるって家を出て、知り合いの働いてた娼館に駆け込んださ。……そのまま、二晩も居続けた」
「い、居続けた、って」
「そういう意味じゃねぇ。人のぬくもりを感じてないとやってられなかった。―――こういうことだ」

 リカッロの両腕が、ユーディリアの細い身体をぎゅっと抱きしめた。リカッロの体温がユーディリアに流れ込んで来るような錯覚が、ユーディリアの心を震わせる。

「矛盾した話ですよね」
「ん?」
「人からぬくもりを奪ったのに、人のぬくもりを求めるなんて」
「なんだったら、邪魔なもん脱いで、直に触るか?」

 からかうようなその言葉に、ユーディリアの顔が真っ赤に染まった。じたばたと足掻くものの、リカッロは腕を解くことはしない。

「そこまで、その、していただかなくても、結構です!」

 うろたえるユーディリアの赤く染まった耳を、リカッロが甘く噛んだ。途端に、彼女の動きが固まったように止まった。

「明日もオレは犯人探しで忙しい。だけどな、今夜ぐらいは傍にいてやれるぜ?」

 耳元に流し込まれるような囁きに、ユーディリアは「もう、やめてください」と悲鳴を上げた。

―――翌朝、ユーディリアが目を覚ますと、隣にリカッロの姿はなかった。思いがけない優しさを見せた昨夜のリカッロは、もしや夢だったのではないかと呟くと、即座にベリンダが否定した。

『あれだけアタシ達が慰めてもさっぱりだったのに、リカッロ王子が相手だところっと納得しちゃってさ、どうなのよ?』

 薄桃色のドレスに着替えたユーディリアは、「どうって言われても」と首を傾げた。

『今日はどうするつもりじゃ?』

「将軍。昨日はありがとう。でも、もう少し考えたいの。……あと、筋肉痛がちょっとあるから、今日は部屋に閉じこもってるわ」

 その言葉に「今日は歌えないの?」「今日は読まないの?」という悲鳴が聞こえ、ユーディリアは苦笑いを浮かべた。

「歌はここか、バルコニーで歌いましょう? リッキー、外にいる見張りの兵に頼んで、本を持って来てもらうわ。……将軍、あまりきつくない程度の筋力トレーニングなら付き合います」

 あくまで三人平等に扱うユーディリアに、一人だけ不満を口にしなかった将軍が困ったようにヒゲを撫でた。

(後で、リカッロ殿下にもお礼を言わないと)

 そう思ったものの、その夜、筋トレで身体が疲れていたのか、ユーディリアは彼が来る前に、睡魔に負けて沈没してしまった。


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