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Ep.4 今日のニュース(1)
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◆◆◆
今日のニュース
◆◆◆
その後の調査の結果、いくつかのことが判明した。
それの生態は、アリなどの人類が知るいくつかの昆虫に類似する部分があることが分かった。
脳を乗っ取るという特徴は今の人類にとってもやはり無視出来るものでは無く、さらに驚くべきはそれだけでは無かった。
女王はもちろん、幼虫から成体までの全てのものが、人間と同等の解析・演算能力を有していることが分かった。
ゆえにそれらは知的生物の脳を乗っ取り、操ることが出来る。
だが、それらは人間の手のような工作に適した器官を有していない。だから文明を築けない。だから乗っ取って利用する。
さらにそれらはそれほどの知能を有していながら、ほとんどのものが言語能力を有していない。人類と同等の声を発する器官を有しているのは女王だけだ。
なぜか、これについての答えを得るには少々の時間を要した。
小型ドローンによる隠密観察によって、一つの事実が明らかになったのがきっかけであった。
女王は子供に名前をつけることがあった。
そして呼びかけながら育児を行う。まるで人類の親が子供に対して愛情を注ぐように。
しかし子供達はその愛情に応えない。
なぜか。
その答えは先の疑問に対してのものよりも早期に発見されていた。
解剖によって、女王以外のものがある共通した構造とそれに伴う特徴を有していることが分かっていた。
それは地球に生息するゴキブリに近いものであった。
演算や思考、それに伴う行動のほとんどが、反射の領域に、すなわち本能に直結されていたのだ。
つまり、それらはほとんど考えていないのだ。外部からの刺激や、目から得た情報に対して、機械的に行動しているのだ。
感情を伴う自由意志もあることにはあるが、それは我々のものと比べると非常に貧弱なものであった。人間に迫る高度なものを有しているのは女王だけであった。
このような調査と対策は、混乱を避けるために秘密裏に行われた。
だが、脳を乗っ取り、相手と同じ文明の力を使うことが出来る相手に対して、すべての対処を秘密裏に済ませることなど不可能だった。
そしてそれは間違いだった。最初から公表し、全力で事に当たるべきだったのだ。
その脅威の存在が一般人にまで認知され始める頃には、人類は一つの決断を迫られるほどになっていた。
今日のニュース
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その後の調査の結果、いくつかのことが判明した。
それの生態は、アリなどの人類が知るいくつかの昆虫に類似する部分があることが分かった。
脳を乗っ取るという特徴は今の人類にとってもやはり無視出来るものでは無く、さらに驚くべきはそれだけでは無かった。
女王はもちろん、幼虫から成体までの全てのものが、人間と同等の解析・演算能力を有していることが分かった。
ゆえにそれらは知的生物の脳を乗っ取り、操ることが出来る。
だが、それらは人間の手のような工作に適した器官を有していない。だから文明を築けない。だから乗っ取って利用する。
さらにそれらはそれほどの知能を有していながら、ほとんどのものが言語能力を有していない。人類と同等の声を発する器官を有しているのは女王だけだ。
なぜか、これについての答えを得るには少々の時間を要した。
小型ドローンによる隠密観察によって、一つの事実が明らかになったのがきっかけであった。
女王は子供に名前をつけることがあった。
そして呼びかけながら育児を行う。まるで人類の親が子供に対して愛情を注ぐように。
しかし子供達はその愛情に応えない。
なぜか。
その答えは先の疑問に対してのものよりも早期に発見されていた。
解剖によって、女王以外のものがある共通した構造とそれに伴う特徴を有していることが分かっていた。
それは地球に生息するゴキブリに近いものであった。
演算や思考、それに伴う行動のほとんどが、反射の領域に、すなわち本能に直結されていたのだ。
つまり、それらはほとんど考えていないのだ。外部からの刺激や、目から得た情報に対して、機械的に行動しているのだ。
感情を伴う自由意志もあることにはあるが、それは我々のものと比べると非常に貧弱なものであった。人間に迫る高度なものを有しているのは女王だけであった。
このような調査と対策は、混乱を避けるために秘密裏に行われた。
だが、脳を乗っ取り、相手と同じ文明の力を使うことが出来る相手に対して、すべての対処を秘密裏に済ませることなど不可能だった。
そしてそれは間違いだった。最初から公表し、全力で事に当たるべきだったのだ。
その脅威の存在が一般人にまで認知され始める頃には、人類は一つの決断を迫られるほどになっていた。
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