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Ep.3 ファーストコンタクト(13)
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目指す場所は決まっていた。
脱出ポッドと小型艇のある格納庫だ。
ブリッジがああなってしまった以上、この星から脱出する手段はそれしか無い。
ジョシュは何度かつまずき、階段から転げ落ちたりもした。
だが、追いつかれることは無かった。
背後からは常に虫の群れが追ってくる音が聞こえていた。
しかしその音は彼女の叫び声や、格闘しているような騒音と共に何度か止まっていた。
そうしてジョシュは何事も無く、格納庫に辿り着いた。
通信士を一人用の脱出ポッドに乗せる。
後は発進させるだけでいい。操作は全て自動でやってくれる。
だがその時、ジョシュは気付いた。
二つあるはずのポッドが一つ無くなっているのを。
使われた記憶は無い。
虫にやられた後に、体を乗っ取られた誰かがそれを使った?
なんのために?
その想像は恐怖しか生みださなかった。
だからジョシュは考えるのをやめ、小型艇に乗り込もうとした。
その時、ジョシュは見た。
格納庫に繋がる通路を彼女がその巨体で塞いでいるのを。
押し寄せてくる虫達と格闘しているのを。
だが、ジョシュは湧き上がる感情を雑念として振り払い、小型艇の入り口に足をかけた。
その時、
「ジョーーーシュ!」
背中に響いた呼び声に、ジョシュは振り返った。
見ると、彼女はこちらに向き直り、手を振っていた。
ハチの前足のような手を頭上に上げ、左右に揺らしている。
そしてその目は涙に濡れていた。
さようなら、その手にはそんな意味が込められているように思えた。
「……!」
だからジョシュの足は止まった。
しかしそれは一瞬のことだった。
考えるまでも無いことだった。その思いが真に望ましい形で成就することは決してありえないのだから。
そしてジョシュは小型艇を起動し、惑星から脱出した。
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