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Ep.3 ファーストコンタクト(6)
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◆◆◆
そして気付けば今度はベッドの上だった。
隣には彼女がいる。
焦っているのも同じ。
しかし今回はそれだけでは無かった。
それは既視感。
もう何度も彼女と愛を育んだ、そんな気がする。
そういえば、『この夢は何度目』だ?
三回目? いや、違う。
もっと何度も見ているような――
「ジョシュ?」
しかしその思考はまたしても彼女の声で中断された。
「すまない。起こしてしまったか?」
謝罪と同時に、彼女の額にキスをする。
しかし彼女はそれだけでは許してくれなかった。
ジョシュの上に馬乗りになり、その体で愛を表現し始める。
そして生じる快楽の渦。
かき回されるジョシュの意識。
だがその快感をもってしても、ジョシュの中にある奇妙な感覚は消えなかった。
快楽に抵抗するかのように、奇妙な感覚は大きくなっていった。
そしてそれは違和感に変わり、そして現実感になった。
直後、
「っ!」
ジョシュは思わず上半身を起こしながら、上にいる彼女を突き飛ばした。
「いたっ! 一体どうしたの?!」
彼女が尋ねる。
ジョシュは息を乱しながら答えた。
「い、一瞬だけど、君が化け物に見えた」
本当に一瞬だが、ジョシュは見た。
自分は化け物にキスされていた。舌のような何かを口に咥えさせられていた。
それは異常なまでにリアリティがあった。
口におぞましい感触が残っている。
だからジョシュは口に手を当てて、汚らわしいものを拭うように何度も擦った。
だからジョシュは気付けなかった。
彼女が焦った表情を浮かべていることに。
しかし彼女はすぐにいつもの彼女に戻った。
いつもの優しい表情で口を開く。
「疲れているのよ、ジョシュ。無理も無いわ。あんなに何度も愛し合ったんだもの」
言いながら、彼女はジョシュの体を優しくベッドに押し倒し、その両目を手で塞いだ。
ジョシュは抵抗せず、その優しさに従った。
光の無い視界の中に、自分の意識が落ちていく。
そのまどろみの中で、ジョシュは声を聞いたような気がした。
麻酔が切れかけていたようね。次からは気をつけないと――と。
そして気付けば今度はベッドの上だった。
隣には彼女がいる。
焦っているのも同じ。
しかし今回はそれだけでは無かった。
それは既視感。
もう何度も彼女と愛を育んだ、そんな気がする。
そういえば、『この夢は何度目』だ?
三回目? いや、違う。
もっと何度も見ているような――
「ジョシュ?」
しかしその思考はまたしても彼女の声で中断された。
「すまない。起こしてしまったか?」
謝罪と同時に、彼女の額にキスをする。
しかし彼女はそれだけでは許してくれなかった。
ジョシュの上に馬乗りになり、その体で愛を表現し始める。
そして生じる快楽の渦。
かき回されるジョシュの意識。
だがその快感をもってしても、ジョシュの中にある奇妙な感覚は消えなかった。
快楽に抵抗するかのように、奇妙な感覚は大きくなっていった。
そしてそれは違和感に変わり、そして現実感になった。
直後、
「っ!」
ジョシュは思わず上半身を起こしながら、上にいる彼女を突き飛ばした。
「いたっ! 一体どうしたの?!」
彼女が尋ねる。
ジョシュは息を乱しながら答えた。
「い、一瞬だけど、君が化け物に見えた」
本当に一瞬だが、ジョシュは見た。
自分は化け物にキスされていた。舌のような何かを口に咥えさせられていた。
それは異常なまでにリアリティがあった。
口におぞましい感触が残っている。
だからジョシュは口に手を当てて、汚らわしいものを拭うように何度も擦った。
だからジョシュは気付けなかった。
彼女が焦った表情を浮かべていることに。
しかし彼女はすぐにいつもの彼女に戻った。
いつもの優しい表情で口を開く。
「疲れているのよ、ジョシュ。無理も無いわ。あんなに何度も愛し合ったんだもの」
言いながら、彼女はジョシュの体を優しくベッドに押し倒し、その両目を手で塞いだ。
ジョシュは抵抗せず、その優しさに従った。
光の無い視界の中に、自分の意識が落ちていく。
そのまどろみの中で、ジョシュは声を聞いたような気がした。
麻酔が切れかけていたようね。次からは気をつけないと――と。
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