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Ep.2 基地から回収された記録(12)

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   ◆◆◆

 ほとんどの人間はちょっとした異常を見つけても見逃すか、自分には関係無いとやり過ごしてしまう。
 一時的なものだ、あいつは体調がちょっと悪いだけ、などと都合の良い理由を自分の中に作って無視してしまう。
 しかしそうでは無いものもいた。

「……お母さん?」

 その子は帰って来た母親が違うナニカに変わってしまっていることにすぐに気付いた。
 子供にとって親は己の安全や生活を支える重要な存在である。そしてなにより、その子にとって母親は愛すべき存在だった。だから気付けた。
 が、

「! わあああぁっ?!」

 非力な子供ゆえに、その子には何も出来なかった。

   ◆◆◆

 そしてそれは医務室でも同じだった。

「おい、本当に大丈夫か?」

 男は同じ医務室で勤務している女の異常を察知していた。

「調子が悪そうだが」
「大丈夫」

 言葉を重ねても同じ答えしか返ってこない。
 だが、その答え自体が異常だった。
 普段の彼女はこうじゃない。
 まるで突然別人になってしまったような、そんな感じがする。
 男はその不気味さをまぎらわせるために、違う話題を振ることにした。

「そういえば、俺が非番の時に運ばれてきたっていう患者はどうした?」
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