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Ep.2 基地から回収された記録(11)
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ヤードと呼ばれる倉庫の近くにある植物園で、二人の男女が作業を行っていた。
「こっちは終わったぞ」
先に仕事を終えた男が女に向かって口を開く。
青々をしたその空間は『ガーデン』と呼ばれていた。
そして男は女のほうに歩み寄って尋ねた。
「手伝おうか?」
これに女は首を振った。
「大丈夫。あとはここに大理石を敷き詰めていくだけだから」
その言葉で気付いた男は再び尋ねた。
「その大理石が見当たらないが?」
「ヤードに注文してるんだけど、まだ来てないの」
これに男は薄く笑みを浮かべながら言った。
「あそこの仕事が遅いのはいつものことだからな。ろくに在庫が管理されていないらしい。もしかしたら今日はもう届かないかもしれないぞ?」
「かもね。もう少し待っても来なかったら私も帰ることにするわ」
「そうか。じゃあお先に。お疲れ様」
「お疲れ様」
そんなやり取りの後、男は女の前から去っていった。
「……」
そして一人残ることになった女は携帯端末をいじり始めた。
くだらない動画を見て時間をつぶす。
そうして時間の感覚が無くなりかけた頃、
「……うん?」
近づいてくる機械音に、女は顔を上げた。
それは運搬用の小型トラックの音であった。
見ると、運転しているのはヤードで働いている女であった。
やっと来たか、女はやれやれと立ち上がり、手を上げて声をかけた。
「こっちよ。ここに止めてちょうだい」
そして女は挨拶もほどほどに、トラックの荷台のほうへと回りこんだ。
そこには注文通りの大理石の平石が積まれていた。
が、
「? なにこれ?」
そこにはあの『丸石』もあった。
「こんなの注文してないけど? 他の人からの注文?」
しかし返事は無い。
そして女は気付いていなかった。
ヤードの女が音も無く背後に忍び寄っているのを。
そして口内を見せつけようとしているかのように、その口を大きく開き始めたのを。
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