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Ep.1 調査隊の船から回収した記録(12)

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   ◆◆◆

「ここは任せたぞ!」

 撤退指示を出した直後、隊長は同じブリッジに残っていた通信士に向かって叫んだ。

「どちらへ?!」

 聞かずとも予想がついている質問を通信士が隊長にぶつける。
 そして返ってきた答えはやはり予想通りのものであった。

「チームの救出に向かう!」

   ◆◆◆

「急げっ!」

 言われるまでも無い言葉を誰かが叫ぶ。
 散乱している障害物や床のぬめりに足をとられつつも、必死で駆ける。
 目指すはバリケード。
 そこさえ越えれば、そんな思いが全員の心にあった。
 が、直後、

「「「!?」」」

 前方から、何かが崩れたような音が全員の耳に響いた。
 まさか?! そんな恐怖の予感と共に最後の交差点を曲がる。
 すると、その予感は的中してしまっていた。
 スペースを確保したバリケードは、崩れて塞がってしまっていた。
 崩れた分、上の隙間が広がっている。よじ登れば通れるだろう。
 だが、そのバリケードの前には、二人の男が立っていた。
 両者とも、警備員と思わしき服装。
 しかしその目はうつろ。
 その両手にはアサルトライフルが握られている。
 そしてその銃口は隊員達のほうに向けられていた。
 まさか?! その予感も的中してしまった。

「「「うわああああっ?!」」」

 銃撃の嵐が隊員達に浴びせられる。
 前を走っていた隊員達が次々と倒れていく。
 その仇を討つために他の隊員達が反撃する。
 遮蔽物無しの近距離での撃ち合い、ならば数で勝るこちらが有利。
 そのはずだったが、

「「「?!」」」

 蜂の巣になってもその二人は倒れなかった。
 まるで痛みを感じていないかのよう。
 そして血まみれの二人が弾倉をカラにするころには、隊員達は誰も動かなくなっていた。
 だが、隊員は全滅したわけでは無かった。
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