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Ep.1 調査隊の船から回収した記録(11)
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何が起きているのか、まだ誰も把握していなかったが、レイモンドが発したその叫びは的確な指示であった。
だから即座に別の隊員が声を上げることが出来た。
「そいつを撃て!」
全員がほぼ同時に銃口を向ける。
暴れているせいで狙いにくい。が、比較的良い位置にいたある隊員だけは、上に乗っているそいつだけに上手く照準を合わせることが出来た。
隊員の銃口が火を吹き、生存者の体からいくつもの赤い華が咲く。
狙え、から発射までおよそ数秒。
であったが、ランベルトの顔面は既にズタズタだった。
その傷は首にまで及んでおり、噴水のように出血している。
苦痛の声を上げようとしているが、ゴボゴボという気泡の音が漏れるのみ。
シェリーが即座に止血を始めるが、その行為は誰の目にも無駄のように思えた。
全員の意識がランベルトとシェリーに集中する。
その間に、悪夢は隊員の足元に忍び寄っていた。
そして直後、
「うあっ?!」
それはある隊員に襲い掛かった。
反射的に全員が悲鳴を上げた隊員のほうに向き直る。
見ると、それは隊員の足に噛み付いていた。
それは大人の腕ほどの太さがある蛇のように見えた。
いや、よく見ると蛇は間違いであった。
確かに頭は蛇に似ている。だが、胴体から下は大量の触手を持つクラゲのようであった。
足を食いちぎろうとしているかのように、その身を激しく揺らしている。
「くそがっ!」
その痛みを倍返しにするかのように、噛み付かれている隊員が銃弾を撃ち込む。
その数発の射撃だけで、謎の生物はあっさりと動きを止めた。
脆く、力も強くない、その事実に隊員達の緊張は解け始めた。
驚かされたが大した脅威では無い。隊員達はそう思ったが、直後、
「天井のダクトから這い出てきてる!」
その安堵は新たな緊張と恐怖によって塗り替えられた。
発見した隊員がその脅威の位置を知らせるために、暗視用のライトをそれに当てる。
そこには、落ちてきたばかりのうごめく数匹のそれがいた。
全員で一斉に射撃する。
恐怖から来る、過剰な射撃。
その過剰な火力によってその数匹はミンチと化したが、
「あちこちから音がする! そこら中にいるぞ!」
恐怖はまだ終わらなかった。
「隊長、指示を!」
その恐怖に負けた誰かがマイクに向かって叫ぶ。
そして直後に返ってきた答えは隊員達全員が期待していたものであった。
“全員、撤退しろ!”
だから即座に別の隊員が声を上げることが出来た。
「そいつを撃て!」
全員がほぼ同時に銃口を向ける。
暴れているせいで狙いにくい。が、比較的良い位置にいたある隊員だけは、上に乗っているそいつだけに上手く照準を合わせることが出来た。
隊員の銃口が火を吹き、生存者の体からいくつもの赤い華が咲く。
狙え、から発射までおよそ数秒。
であったが、ランベルトの顔面は既にズタズタだった。
その傷は首にまで及んでおり、噴水のように出血している。
苦痛の声を上げようとしているが、ゴボゴボという気泡の音が漏れるのみ。
シェリーが即座に止血を始めるが、その行為は誰の目にも無駄のように思えた。
全員の意識がランベルトとシェリーに集中する。
その間に、悪夢は隊員の足元に忍び寄っていた。
そして直後、
「うあっ?!」
それはある隊員に襲い掛かった。
反射的に全員が悲鳴を上げた隊員のほうに向き直る。
見ると、それは隊員の足に噛み付いていた。
それは大人の腕ほどの太さがある蛇のように見えた。
いや、よく見ると蛇は間違いであった。
確かに頭は蛇に似ている。だが、胴体から下は大量の触手を持つクラゲのようであった。
足を食いちぎろうとしているかのように、その身を激しく揺らしている。
「くそがっ!」
その痛みを倍返しにするかのように、噛み付かれている隊員が銃弾を撃ち込む。
その数発の射撃だけで、謎の生物はあっさりと動きを止めた。
脆く、力も強くない、その事実に隊員達の緊張は解け始めた。
驚かされたが大した脅威では無い。隊員達はそう思ったが、直後、
「天井のダクトから這い出てきてる!」
その安堵は新たな緊張と恐怖によって塗り替えられた。
発見した隊員がその脅威の位置を知らせるために、暗視用のライトをそれに当てる。
そこには、落ちてきたばかりのうごめく数匹のそれがいた。
全員で一斉に射撃する。
恐怖から来る、過剰な射撃。
その過剰な火力によってその数匹はミンチと化したが、
「あちこちから音がする! そこら中にいるぞ!」
恐怖はまだ終わらなかった。
「隊長、指示を!」
その恐怖に負けた誰かがマイクに向かって叫ぶ。
そして直後に返ってきた答えは隊員達全員が期待していたものであった。
“全員、撤退しろ!”
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