63 / 70
第七話 熱く眩しい夏(8)
しおりを挟む
「わたしは大学に行ってみたい。でも、エイジくんとの関係は終わらせたくない。エイジくんとこういうこと、シテいたい」
彼女は俺と同じ気持ちを述べたあと、さらにその先に踏み込んだ。
「でも、このままエスカレートしたら……ええと、上手く言えないけど、なんか危ない気がするの。ハマったら勉強が手につかなくなる、そんな気がして怖いの」
彼女の言葉は上手くまとめられていなかったが、それでも何を言いたいのかはよく伝わった。
だから俺は自分の愚かさを恥じた。
勢いに身を任せる、それは時に必要だが、いまの俺は自分の欲望のことしか考えていなかったのだ。
事におよぶための準備も無い。もしもデキてしまったら彼女の人生に大きな影響を与えてしまうだろう。
彼女と同じ道を歩みたいから勉強を頑張る、それは純粋な気持ちから生まれたものだ。
だが、俺はそれよりも先のことまでは考えていなかったのだ。
「……」
気付けば、俺の中にあった熱いたぎりはウソのように消え去っていた。
そして、彼女は、
「だから――」
俺のほうに向き直り、
「いまできるのは、ここまで」
いまの彼女に出来る精一杯の口付けを俺にしてくれた。
不思議なことに、俺はこの口付けで興奮を抱かなかった。
心が温かくなり、勉強へのやる気が高まった、それだけだった。
欲情の無い純粋な想いによる行為というものを、俺は初めて経験したのであった。
ああ、そうだ一つ言い忘れるところだった。
プールにもちゃんと行った。
彼女は俺と同じ気持ちを述べたあと、さらにその先に踏み込んだ。
「でも、このままエスカレートしたら……ええと、上手く言えないけど、なんか危ない気がするの。ハマったら勉強が手につかなくなる、そんな気がして怖いの」
彼女の言葉は上手くまとめられていなかったが、それでも何を言いたいのかはよく伝わった。
だから俺は自分の愚かさを恥じた。
勢いに身を任せる、それは時に必要だが、いまの俺は自分の欲望のことしか考えていなかったのだ。
事におよぶための準備も無い。もしもデキてしまったら彼女の人生に大きな影響を与えてしまうだろう。
彼女と同じ道を歩みたいから勉強を頑張る、それは純粋な気持ちから生まれたものだ。
だが、俺はそれよりも先のことまでは考えていなかったのだ。
「……」
気付けば、俺の中にあった熱いたぎりはウソのように消え去っていた。
そして、彼女は、
「だから――」
俺のほうに向き直り、
「いまできるのは、ここまで」
いまの彼女に出来る精一杯の口付けを俺にしてくれた。
不思議なことに、俺はこの口付けで興奮を抱かなかった。
心が温かくなり、勉強へのやる気が高まった、それだけだった。
欲情の無い純粋な想いによる行為というものを、俺は初めて経験したのであった。
ああ、そうだ一つ言い忘れるところだった。
プールにもちゃんと行った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる