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第六話 甘く初々しい、そんな青色の春(8)
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当時の俺の平日の睡眠時間は平均3時間ほどになっていた。
だから、彼女の家で寝てしまったのはしょうがないことだった。
「zzz……」
あとから聞いた話だが、俺は彼女がゲームをプレイしているのを隣で見ているうちに寝てしまったらしい。
いつ眠りに落ちてしまったのかまったく覚えていない。その時は時間の感覚も失っていた。
だから驚いた。
目を覚ますと、彼女にキスされていたからだ。
そして俺が目を覚ましたことに気付いた彼女は、前にも見せた小悪魔っぽい笑顔で口を開いた。
「あ、ごめん起こしちゃった?」
しかしその笑みに恥ずかしさは見られなかった。
もしかしたら、俺を起こすつもりでやったのかもしれない。
そして俺は彼女の笑みを見ていてようやく気付いた。
背景が天井なのだ。
さらに後頭部がやわらかい。
枕とは明らかに違う感触。
だから何をされているのかすぐに分かった。
そして直後、彼女は俺の考えが正解であることを述べた。
「エイジくんの寝顔を見てたらいたずらしたくなって……ひざまくらしても起きないから、つい調子に乗っちゃった」
こういうイタズラならいつでも大歓迎だ。
そして思った。
ヒナタさんはこういうこと対してかなり積極的だなあ、と。
自分ならばやりたいと思っても恥ずかしくて出来ない。
しかしヒナタさんは違うようだ。こういうことに耐性があるのかもしれない。
だったら、もう少し甘えても許されるだろう。
もうちょっとだけこの膝枕を満喫しよう、俺はそう思って再び目を閉じた。
そして、彼女は俺が寝直そうとしていることに対して何も言わなかった。
やっぱり彼女は優しい。
だが、ずっと同じあおむけの姿勢だったせいか、ちょっと背中が痛い。
だから俺は寝返りを打った。
彼女のおなかのほうに顔を向けるように、体を回転させる。
「きゃ」
すると、彼女はとてもかわいい声を出した。
その声に、俺は頭の中でなにかのスイッチが入ったのを感じた。
もう少しだけ欲望のままに、そう思った俺は彼女のおなかに顔をうずめようとした。
が、
「ひゃあ?! ちょっと!?」
にじり寄る俺の顔を、彼女は両手で止めてガードした。
キスは普通に出来るのに、これはダメなのか……俺はそう思った。
じゃあしょうがない。普通に楽しもう、そう思った俺は再び意識を沈めた。
ちなみに、この後ほっぺたにネコの落書きをされたことについては、家で両親に指摘されるまで俺は気付かなかったのであった。
こうして、平日は勉強に励み、週末は彼女とむずがゆいスキンシップをして過ごす、そんな繰り返しの生活がしばらく続いた。
俺は順調に成績を伸ばしていった。それにはやはり彼女の協力もあった。
もしかしたらいけるかもしれない、そう思えるようになった頃には季節は再び夏になっていた。
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