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第六話 甘く初々しい、そんな青色の春(5)

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 熱っぽい吐息が顔にかかる。
 俺はその熱にあてられたのか、自然と答えていた。

「俺は……ヒナタさんと、したい」

 そして俺のその答えに、彼女は、

「……いいよ」

 と言って、目を閉じた。
 俺は覚悟を決めた。
 彼女がいいと言うのであればその言葉に応えよう、そう思った。
 左手で彼女の右肩を優しく掴む。

「……っ」

 やはり緊張しているのか、彼女はそれだけのことでわずかに震えたのを、俺は感じ取った。
 そして俺は右手で彼女の服を脱がしにかかった。
 直後、

「ちょ、ちょっと?!」

 彼女は驚いた様子で俺から離れながら声を上げた。

「ちが!? ちがうよ! それじゃないって! いきなりそれは順番が違うと思うよ!?」
「え、でも、『ああいうこと』って言ったじゃないか」

 俺が画面を視線で指しながらそう聞き返すと、彼女は正解を述べた。

「映画のアレじゃないよ! あの時のアレだよ! 校舎裏の!」

 この時、「なんだあっちのほうか」と、少し残念に感じてしまったのはやはり俺が男だからなのだろうか。
 とにかく、早とちりしてしまった自分が悪い、そう思った俺は謝ろうとしたが、

「じゃあ……もう一度。次はちゃんと、ね?」

 謝罪などいらないとでも言うかのように、彼女は再び俺のほうに近寄ってきた。
 そして彼女は再び目を閉じた。
 俺は再び覚悟を決め――

 ――っ。

 顔を重ねた。
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