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第四話 恋と衝撃の秋(12)
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◆◆◆
片付けはすぐに終わった。
「おつかれさまー」「おつかれー」
皆それぞれに文化祭の余韻を語り合い、そして下校し始めた。
最初は外装の処分に手間取るかと思っていたが、そんなことは無かった。
出来がすごくいいから、来年から喫茶店をやるクラスに貸し出すことになったと、先生から言われたからだ。
つまり、残っている仕事は一つだけだった。
外装である入り口の飾りと、ショーケースを倉庫にしまうだけだ。
この最後の仕事は天野さんも手伝ってくれた。
当然、重くて持ちにくい入り口の飾りのほうは俺が持った。
ショーケースも女性の腕には決して軽いといえる代物では無かったが、それでも天野さんは一言も愚痴をこぼさずに手伝ってくれた。
倉庫は体育館の裏にあった。
決して近くは無い。階段も使う。
だから運び終えた時の天野さんは明らかに少し疲れていた。やはり声には出さなかったが。
そして倉庫を出たと同時に、彼女は再び嬉しい提案をしてくれた。
「ちょっと喉が渇いたんだけど、一緒にどう?」
俺はもちろんOKした。
自販機はすぐそばにあった。
倉庫は複数あるが、一部は部室や更衣室として使われている。
利用している運動部員達のために、自販機が倉庫の横に設置されているのだ。
彼女は温かいコーンポタージュのボタンを押した。
既に季節は涼しいを通り越して肌寒くなりつつある。
だから俺も彼女と同じように、ホットのコーヒーを買うつもりだった。
が、
「「あ」」
押した瞬間、俺だけでなく、彼女も間違いに気付いた。
自動販売機の照明は、俺が冷たいコーヒーのボタンを押したことを示していた。
片付けはすぐに終わった。
「おつかれさまー」「おつかれー」
皆それぞれに文化祭の余韻を語り合い、そして下校し始めた。
最初は外装の処分に手間取るかと思っていたが、そんなことは無かった。
出来がすごくいいから、来年から喫茶店をやるクラスに貸し出すことになったと、先生から言われたからだ。
つまり、残っている仕事は一つだけだった。
外装である入り口の飾りと、ショーケースを倉庫にしまうだけだ。
この最後の仕事は天野さんも手伝ってくれた。
当然、重くて持ちにくい入り口の飾りのほうは俺が持った。
ショーケースも女性の腕には決して軽いといえる代物では無かったが、それでも天野さんは一言も愚痴をこぼさずに手伝ってくれた。
倉庫は体育館の裏にあった。
決して近くは無い。階段も使う。
だから運び終えた時の天野さんは明らかに少し疲れていた。やはり声には出さなかったが。
そして倉庫を出たと同時に、彼女は再び嬉しい提案をしてくれた。
「ちょっと喉が渇いたんだけど、一緒にどう?」
俺はもちろんOKした。
自販機はすぐそばにあった。
倉庫は複数あるが、一部は部室や更衣室として使われている。
利用している運動部員達のために、自販機が倉庫の横に設置されているのだ。
彼女は温かいコーンポタージュのボタンを押した。
既に季節は涼しいを通り越して肌寒くなりつつある。
だから俺も彼女と同じように、ホットのコーヒーを買うつもりだった。
が、
「「あ」」
押した瞬間、俺だけでなく、彼女も間違いに気付いた。
自動販売機の照明は、俺が冷たいコーヒーのボタンを押したことを示していた。
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