36 / 70
第四話 恋と衝撃の秋(10)
しおりを挟む◆◆◆
俺達の喫茶店は他のクラスの出し物よりも賑わっていたと思う。
やはりエプロンドレスの印象は強烈だったのだろう。他のクラスの知り合いが茶化しにきたり、知らないやつらが撮影しにきたりした。
服はエプロンドレスしか用意されていなかったため、接客は女子だけがやることになった。
男子は隅っこで飲み物とケーキの用意をするのが唯一の仕事だ。
だが、その程度の仕事に大人数は必要無い。ゆえに男子は暇のほうが多くなった。
俺もその暇を持て余していた一人だった。
俺はクラス委員特権を使って、午前中の最初に自分の担当時間を入れていた。
三十分ほどの仕事を終えたらあとは全て自由時間。早朝だから客もそんなに来ない。コンビニバイトと比べたらあくびが出そうなほどに楽な仕事だった。
そして俺は潤沢な自由時間を使って文化祭を楽しむつもりだった。悪友と一緒に、だ。
が、半日もしないうちにほぼ全ての店を回ることが出来てしまった。
残り半日、どうやって時間を潰そうか、そんなことを俺が考えていると、悪友は「ちょっと家に帰る」などと、とんでもないこと言い出し、それを実行してしまった。
そうして俺は一人になってしまった。
さて本当にどうしようか。教室に戻って手伝いでもやってるほうがマシなのではないか、俺がそんなことを考えた直後、後ろから声を掛けられた。
「影野くんも一人なの?」
振り返ると、そこには彼女がいた。
俺が「うん」と答えると、彼女はとても嬉しい提案をしてくれた。
「じゃあ、一緒に見て回らない?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
らぶこめ! わたしのツンが消える時
稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
恋愛
ある出来事をきっかけに離れることになった二人が再びくっつくお話です。
青春時代ならでは心の変化と成長を主軸に描いた物語です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
その傘をはずして
みたらし
恋愛
高校三年生の夏。
クラスメイトの悪ふざけで行内一の美女、雅田伊織に告白することになった月島歩。
告白は何故か快諾されたが、そこには伊織のある思惑があった――。
※小説家になろう、エブリスタでも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる