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第四話 恋と衝撃の秋(10)
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俺達の喫茶店は他のクラスの出し物よりも賑わっていたと思う。
やはりエプロンドレスの印象は強烈だったのだろう。他のクラスの知り合いが茶化しにきたり、知らないやつらが撮影しにきたりした。
服はエプロンドレスしか用意されていなかったため、接客は女子だけがやることになった。
男子は隅っこで飲み物とケーキの用意をするのが唯一の仕事だ。
だが、その程度の仕事に大人数は必要無い。ゆえに男子は暇のほうが多くなった。
俺もその暇を持て余していた一人だった。
俺はクラス委員特権を使って、午前中の最初に自分の担当時間を入れていた。
三十分ほどの仕事を終えたらあとは全て自由時間。早朝だから客もそんなに来ない。コンビニバイトと比べたらあくびが出そうなほどに楽な仕事だった。
そして俺は潤沢な自由時間を使って文化祭を楽しむつもりだった。悪友と一緒に、だ。
が、半日もしないうちにほぼ全ての店を回ることが出来てしまった。
残り半日、どうやって時間を潰そうか、そんなことを俺が考えていると、悪友は「ちょっと家に帰る」などと、とんでもないこと言い出し、それを実行してしまった。
そうして俺は一人になってしまった。
さて本当にどうしようか。教室に戻って手伝いでもやってるほうがマシなのではないか、俺がそんなことを考えた直後、後ろから声を掛けられた。
「影野くんも一人なの?」
振り返ると、そこには彼女がいた。
俺が「うん」と答えると、彼女はとても嬉しい提案をしてくれた。
「じゃあ、一緒に見て回らない?」
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