らぶこめ！ 太陽のヒナタと影のエイジ

第一話 太陽に照らされて目覚めるエイジ(5)

　そして直後に先生がその静寂を破った。

「それでは次は女子のほうを決めるぞ。立候補はあるか？」
「……」

　女子も同じだった。
　しかし次の展開は男子の時と違っていた。

「あー、だったら、推薦は？」

　これに一人の女子が手を挙げた。

「ヒナタさんがいいと思います」

　その名が挙げられた瞬間、俺は隣にいる彼女をチラリと見た。
　彼女は明らかに不満そうな顔をしていた。
　だからか、彼女も手を挙げた。

「私は田中さんがいいと思います」

　それは直球の仕返しでは無かった。彼女が推薦に挙げたのは違う女子であった。
　単純に自分が選ばれる確立を下げたかったのだろう。
　ゆえに彼女の推薦は無難なものだった。その人が委員になっても不自然では無い人選だった。
　田中さんは勉強がめちゃくちゃできる。常に一位争いをしていたはずだ。女子のことに詳しくない俺でも知っているほどに有名だ。それ以外のことはよく知らないが。
　頭がよくて大人しい、それが田中さんの印象だ。
　そしてその性格はこの場面でも発揮された。

「……」

　田中さんは推薦合戦には参加しなかった。
　ゆえに、投票は彼女と田中さんの一騎討ちになった。
　そして勝者は、選ばれたのは、

「選ばれた人、前に出て名前を書いて、自己紹介して」

　やはり彼女だった。
　前に立った彼女は黒板に達筆な字でその名を記した。

『天野　比奈多』、（あまのひなた）それが彼女の名前。

「天野ヒナタです。みなさまよろしくお願いします」

　こうして俺と彼女は一緒にクラス委員をやることになった。