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第一話 太陽に照らされて目覚めるエイジ(3)
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「全員、ちゃんとクジを引いたな?」
二年になって最初のホームルームで席替えが行われることになった。
出席番号順の並びのままは嫌だと、ある男子が提案したからだ。
それについては俺も同意見だった。だから心の中で俺は「ナイス」とそいつのことを褒めておいた。
「よし、それじゃあクジに書かれている番号の席に移動しろ」
そして先生のその言葉を合図に、引越しが始まった。
当然のようにクラスは賑わった。
友達と隣同士になれて喜ぶやつ、不満を漏らすやつ、そのどちらかの声が次々と教室内を飛び交う。
そして俺はそのどちらだったのかというと、
「……」
どちらでも無かった。
俺はなんの声も上げることが出来なかった。
隣にいたのは、なんと彼女だったからだ。
「……どうも」
見られていることと沈黙が気になったのか、彼女はこちらの視線に対して会釈を返した。
慌てて俺もそれにならう。
周りはうるさい。だが、俺と彼女の間には沈黙しか無かった。
そしてその騒ぎはおさまる気配が無かった。だから、
「しーずーかーに! 次はクラス委員を決めるぞ」
先生はそう言って黒板を消した。
「男女一名ずつだ。ではまず男子から。それでは、立候補したい人は手を挙げて」
「「「……」」」
手を挙げるやつは誰もいなかった。
クラス委員をやっておけば内申点で有利になる可能性が高い。
だが、うちのクラスにそれをそこまで気にしているやつはいないようであった。
だから先生はまた同じ手を打った。
「じゃあ、これもクジ引きで決めるぞ」
勤務年数から考えればベテランと呼べる年数である。ゆえに、こういう展開に慣れているのか、先生は机の中からあらかじめ用意しておいた次のクジを取り出した。
そして先生はその中の一枚に、赤いマジックで印をつけた。
それを引き当てたやつが委員長、ということだろう。
ならば、と思った俺は、
「それでは、席を立ってクジを引きに来て。順番は自由。早い者勝ちかもしれないぞ」
先生がそう言うと同時に席を立った。
確率計算はよく知らないが、一人目ならば当たる確立は「クジの数分の一」であるはずだ。
ならば先手必勝。早い者勝ち、先生の言葉を証明するために、俺は早歩きをした。
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