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最終章
第五十八話 おとぎ話の結末(6)
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◆◆◆
「……ふうん」
直後、再び響いた発砲音を、ナチャは少し変わった表情で聞き入っていた。
シャロンが神の遺物を上手く利用しているからだ。
遺物とは当然、電撃魔法のこと。
疑問に思ったことは無いだろうか? 電撃魔法だけ明らかに異質であることに。
光、炎、冷却、これら三つの魔法はただ単に体内で利用していたエネルギーを外部に放出しているだけだ。
しかし電撃魔法は違う。糸という形状を取る。
電気に対して高い抵抗を持つ魂を皮膜とし、電気に親和性を持たせたものを内部につめた、我々の世界でいうところの電線と変わらない代物。
それだけでは無い。電源である手には安全装置までついている。
その安全装置が機能したゆえに、シャロンは再び「鋭い痛みを伴った」。
シャロンの糸は電気抵抗値が低い。ゆえにショートさせてしまった場合、糸の先端同士を直接接続してしまった場合は大電流が流れてしまう。
当然、そのエネルギーは手から腕にも伝わることになる。電源である手は電気に対して頑丈に出来ているが、腕のほうは違う。
ゆえに手首に安全装置がついている。我々の世界でいうところのヒューズやブレーカーと同じもの。電流が一定値を超えると自動的に断線するものだ。
その装置は神経と繋がっているゆえに痛みを伴う。
恐らく、「誤った使い方に対してのお仕置き」としてそうなっているのだろう。
ゆえに、ナチャは、
「ムカつくけど、良い仕事を残したね、あいつは」
かつて「雷神」と呼ばれていたもののことを思い出していた。
電撃魔法が異質である理由は単純。その「雷神」というものによって作られた機能だからだ。
「古きものども」の中には大工を使役出来るものがいた。「雷神」はその一人だ。
電気を扱う技術に長けていた神だから「雷神」、そのまんまだ。
だが、あいつは本当に電気のことしか興味が無いやつだった。
電気をいかに面白く使うか、そのことしか頭に無いやつだった。
今の機能が完成するまでに、あいつは数え切れないほどの人体実験を行った。
そしてその実験は凄惨極まるものだった。
だからルイスはあいつに戦いを挑んだ。
ゆえに興味深い。ゆえに忌々しい。
この忌々しさは当時ルイスと心を繋げていたことが原因だ。当時の自分の感情じゃない。そもそも、あの頃の自分は複雑な感情を抱くことが出来ないほどに未熟だった。
だから切り捨てることが出来ない。他人のものでも思い出の一つであることには変わりないからだ。
ゆえに、ナチャは、
「やっぱり面白いね。人間は」
正直な感想を再び漏らした。
遠い未来はどうなるのか、かつての敵の技術を踏み台にして人はどこまで先に進むのか。
この戦いがそれを想像するヒントになるかもしれない、ナチャはそう思った。
「……ふうん」
直後、再び響いた発砲音を、ナチャは少し変わった表情で聞き入っていた。
シャロンが神の遺物を上手く利用しているからだ。
遺物とは当然、電撃魔法のこと。
疑問に思ったことは無いだろうか? 電撃魔法だけ明らかに異質であることに。
光、炎、冷却、これら三つの魔法はただ単に体内で利用していたエネルギーを外部に放出しているだけだ。
しかし電撃魔法は違う。糸という形状を取る。
電気に対して高い抵抗を持つ魂を皮膜とし、電気に親和性を持たせたものを内部につめた、我々の世界でいうところの電線と変わらない代物。
それだけでは無い。電源である手には安全装置までついている。
その安全装置が機能したゆえに、シャロンは再び「鋭い痛みを伴った」。
シャロンの糸は電気抵抗値が低い。ゆえにショートさせてしまった場合、糸の先端同士を直接接続してしまった場合は大電流が流れてしまう。
当然、そのエネルギーは手から腕にも伝わることになる。電源である手は電気に対して頑丈に出来ているが、腕のほうは違う。
ゆえに手首に安全装置がついている。我々の世界でいうところのヒューズやブレーカーと同じもの。電流が一定値を超えると自動的に断線するものだ。
その装置は神経と繋がっているゆえに痛みを伴う。
恐らく、「誤った使い方に対してのお仕置き」としてそうなっているのだろう。
ゆえに、ナチャは、
「ムカつくけど、良い仕事を残したね、あいつは」
かつて「雷神」と呼ばれていたもののことを思い出していた。
電撃魔法が異質である理由は単純。その「雷神」というものによって作られた機能だからだ。
「古きものども」の中には大工を使役出来るものがいた。「雷神」はその一人だ。
電気を扱う技術に長けていた神だから「雷神」、そのまんまだ。
だが、あいつは本当に電気のことしか興味が無いやつだった。
電気をいかに面白く使うか、そのことしか頭に無いやつだった。
今の機能が完成するまでに、あいつは数え切れないほどの人体実験を行った。
そしてその実験は凄惨極まるものだった。
だからルイスはあいつに戦いを挑んだ。
ゆえに興味深い。ゆえに忌々しい。
この忌々しさは当時ルイスと心を繋げていたことが原因だ。当時の自分の感情じゃない。そもそも、あの頃の自分は複雑な感情を抱くことが出来ないほどに未熟だった。
だから切り捨てることが出来ない。他人のものでも思い出の一つであることには変わりないからだ。
ゆえに、ナチャは、
「やっぱり面白いね。人間は」
正直な感想を再び漏らした。
遠い未来はどうなるのか、かつての敵の技術を踏み台にして人はどこまで先に進むのか。
この戦いがそれを想像するヒントになるかもしれない、ナチャはそう思った。
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