Chivalry - 異国のサムライ達 -

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第六章 アランの力は遂に一つの頂点に

第四十五話 伝説との邂逅(23)

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   ◆◆◆

「――ン」

 声が聞こえる。
 白い何も無い世界の中に言葉だけが響いている。

「アラン」

 よく知った声。
 だからすぐに返事が出来た。

「ソフィア様?」

 しかし返ってきた言葉は、

「アラン」

 少し怖くなるほどに、音量、発音が先と一致した山彦。

「……?」

 何事かと当然いぶかしむ。
 すると直後、違う声が響いた。

「……だから、お願いアラン、彼の『邪魔』はしないであげて」

 それは、あの時言われた謎の警告だった。
『邪魔をするな』、その文面が妙に頭にこびりつく。
 あの時は意味が分からなかった。
 が、

(今ならば、)

 答えが分かる気がした。
 しかしそれが言葉として整理されるよりも早く、

「アラン様」

 ソフィアでは無い、新しい声が響いた。
 男の声。
 懐かしい、知っているその声は続いた。

「私に仕事をやらせてはいただけませんか」

 この声は確か―― アランが名前を記憶の引き出しから取り出すよりも早く、その男は言葉を続けた。

「もう一度、あなたのお役に立ちたいのです」

 その声が響き終わった直後、世界は白から黒に染まり始めた。
 その変化に恐怖は無かった。
 むしろ、闇に向かって意識を集中させていた。
 何か声が聞こえたような、まだ続きがあるような気がしたからだ。
 すると、やはり、言葉は続いた。
 しかしそれは知らぬ声であった。
 その誰かはこう言った。

“剣に身を委ねよ”、と。
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