383 / 586
第六章 アランの力は遂に一つの頂点に
第四十五話 伝説との邂逅(23)
しおりを挟む
◆◆◆
「――ン」
声が聞こえる。
白い何も無い世界の中に言葉だけが響いている。
「アラン」
よく知った声。
だからすぐに返事が出来た。
「ソフィア様?」
しかし返ってきた言葉は、
「アラン」
少し怖くなるほどに、音量、発音が先と一致した山彦。
「……?」
何事かと当然いぶかしむ。
すると直後、違う声が響いた。
「……だから、お願いアラン、彼の『邪魔』はしないであげて」
それは、あの時言われた謎の警告だった。
『邪魔をするな』、その文面が妙に頭にこびりつく。
あの時は意味が分からなかった。
が、
(今ならば、)
答えが分かる気がした。
しかしそれが言葉として整理されるよりも早く、
「アラン様」
ソフィアでは無い、新しい声が響いた。
男の声。
懐かしい、知っているその声は続いた。
「私に仕事をやらせてはいただけませんか」
この声は確か―― アランが名前を記憶の引き出しから取り出すよりも早く、その男は言葉を続けた。
「もう一度、あなたのお役に立ちたいのです」
その声が響き終わった直後、世界は白から黒に染まり始めた。
その変化に恐怖は無かった。
むしろ、闇に向かって意識を集中させていた。
何か声が聞こえたような、まだ続きがあるような気がしたからだ。
すると、やはり、言葉は続いた。
しかしそれは知らぬ声であった。
その誰かはこう言った。
“剣に身を委ねよ”、と。
「――ン」
声が聞こえる。
白い何も無い世界の中に言葉だけが響いている。
「アラン」
よく知った声。
だからすぐに返事が出来た。
「ソフィア様?」
しかし返ってきた言葉は、
「アラン」
少し怖くなるほどに、音量、発音が先と一致した山彦。
「……?」
何事かと当然いぶかしむ。
すると直後、違う声が響いた。
「……だから、お願いアラン、彼の『邪魔』はしないであげて」
それは、あの時言われた謎の警告だった。
『邪魔をするな』、その文面が妙に頭にこびりつく。
あの時は意味が分からなかった。
が、
(今ならば、)
答えが分かる気がした。
しかしそれが言葉として整理されるよりも早く、
「アラン様」
ソフィアでは無い、新しい声が響いた。
男の声。
懐かしい、知っているその声は続いた。
「私に仕事をやらせてはいただけませんか」
この声は確か―― アランが名前を記憶の引き出しから取り出すよりも早く、その男は言葉を続けた。
「もう一度、あなたのお役に立ちたいのです」
その声が響き終わった直後、世界は白から黒に染まり始めた。
その変化に恐怖は無かった。
むしろ、闇に向かって意識を集中させていた。
何か声が聞こえたような、まだ続きがあるような気がしたからだ。
すると、やはり、言葉は続いた。
しかしそれは知らぬ声であった。
その誰かはこう言った。
“剣に身を委ねよ”、と。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる