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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

最終話 主が戻る 人よ思い出せ 古き恐れを(18)

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 そしてルイスは味方の集合を待ちながらデュランを見た。
 最初に抱いた印象はシャロンと同じであった。
 凄まじい、その一言だけであった。
 明らかにデュランに攻撃が集中している。一人の戦士に対してぶつけるには過剰すぎる火力。間違い無くヘルハルトはデュランを強く意識している。
 精神汚染の影響は感じられない。ヘルハルトを倒す、ただその一心だけで精神汚染を耐えている。ムカデを投げる必要が無いほどの闘志を感じる。
 攻撃の多くをデュランが受けてくれているおかげで全体の被害が減っている。
 デュランに降り注いでいる雨のような光弾と精霊が精神汚染と共に他の者達を狙うようになったら、この場にいる者達はすぐに壊滅してしまうだろう。
 デュランに時間を稼いでもらっている間に態勢を整えなくてはならない。

(だが、これは――)

 この状況は危うい。すでに崖っぷちであるとルイスは感じた。
 あの攻撃の中でデュランがまだ生き残っていられているこの状況は、一言で言えば奇跡だ。
 そしてこの奇跡の残り時間は短い。このまま何もしなければデュランは間も無く死んでしまうだろう。
 早く何とかしないと――ルイスが焦りの感情を強く抱いた瞬間、後方から声が響いた。

「ルイス!」

 突然響いたサイラスの声に、ルイスは喜んで振り返った。

「来てくれたのか! 助かる!」

 が、サイラスはルイスの呼び声に応じてこの場に参上したわけでは無かった。
 
「残念だが、来たというよりは押しこまれただけだ! 後方の部隊は敵の増援に完全に浸透されてる! もうすぐここにも来るぞ!」

 サイラスはその残念な知らせを叫んだあと、別の人物のほうに視線を移動させながら次の声を上げた。

「それとここに来た理由はもう一つ! シャロン!」

 シャロンが振り返ったのを見てから、サイラスは右手にあるものを放り投げた。
 投げられた棒状のものをシャロンが受け取ると、その手の中には宝石剣が輝いていた。

「それを返したほうがいいと思ったからだ! では、俺は後方の援護に戻らせて――」

 そしてサイラスは後方に戻ろうとしたが、ルイスはその腕を掴み止めて口を開いた。

「いや、サイラス、君はここにいてくれ! 優秀な精霊使いが一人でも多く必要だからだ!」

 後方も切羽詰まっているが、ここも相当に厳しい状況であることを察したサイラスはルイスに従い、尋ねた。

「わかった! 何をすればいい!」
「設計図を渡す! その設計図の精霊を周囲の仲間達にばらまいてくれ! それとデュランの援護も頼む!」
「どっちが優先だ!」
「わからない! とにかくどちらも何もかもギリギリの状況だ!」

 最優先の仕事が二つあるという、本当に最悪でギリギリな状況であった。
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