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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
最終話 主が戻る 人よ思い出せ 古き恐れを(7)
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叫ぶように響き渡ったその闘争心に、デュランは共感した。
だからか、デュランの足は勝手に前へ出ていた。
対し、ヘルハルトは闘争心に突き動かされるように、いや、闘争心の疼きを全身で表現するかのように、全ての腕を大きく広げた。
胸が疼きが色を持ったかのように赤く輝き、その輝きが腕に伝わる。
そしてヘルハルトはその赤い色をすべての手から放った。
爆発魔法を体内に抱えたトビウオの群れが一斉にデュランに襲いかかる。
が、デュランは迎撃する素振りを見せなかった。
自分が何かする必要は無いことが感じ取れていたからだ。
直後、それはデュランを追い越して前へ飛び現れた。
数多くの鷹(タカ)の精霊であった。
後方から追いかけてきているシャロンが放った精霊であり、その体の中に爆発魔法が抱えられているのが透けて見えた。
そして鷹の群れはトビウオの群れの前で弾けた。
鷹の体を内部から突き破って赤い槍が伸び放たれる。
トビウオの群れに突き刺さり、紅い爆炎となって全てを吹き飛ばす。
花火の連発のような連鎖爆発が起き、衝撃波がデュランの体を圧迫する。
その押しつぶされるような感覚にデュランは足を止めずに抗ったが、背中にいた戦士長は耐えられなかった。
折りたたまれるように潰される。
だが問題は無かった。この後やることを考えれば、むしろ都合が良かった。
衝撃波で動きが鈍ったところを狙って、ヘルハルトの腹の口が赤く開く。
が、この対処がやることでは無い。その必要は無いことが感じ取れていた。
直後にデュランを追い越して前に立ったのは、キーラが放った熊の精霊。
ヘルハルトの腹の口から噴出された炎をすべてその体で受け止める。
そして熊は熱で溶かされたように、デュランに浴びせるように飛び散った。
しかしそれは熱にやられたのでは無く、予定されていた変形であった。
熊だった液体が、潰れた戦士長の体に吸収されていく。
そして一つになりながら体の上を這い、デュランの大剣に巻き付いていく。
巻き付くごとに液体の動きは硬くなり、布のような質感に変わっていった。
そしてデュランは刀身全体が覆われたのを見てから、魔力を勢いよく流し込んだ。
大剣から放たれる光が強まり、その輝きは白から銀色に。
その変化と同時に、巻き付いていた布は回転を始めた。
回転は加速し、十分な速度に達したのを見てからデュランは口を開いた。
“「シャイニングシュラウドッ、」”
戦士長の声も重なっていた。
その巨体にでかい風穴を開けてやる! そんな思いが含まれていた。
対し、ヘルハルトも同じ構えであった。
一本に束ねた巨大な剣を水平に構え、渦巻かせている。
そしてヘルハルトも同じように思いを含ませながら響かせた。
“バーンシュラウドッ、”
やってみせてみろ、できるものならば! と。
ならばあとはぶつかり合うだけ。
だからデュランとヘルハルトは引き寄せ合う磁石のように同時に地を蹴り、
““「スピアァッ!!!」””
叫びと共にぶつかり合った。
だからか、デュランの足は勝手に前へ出ていた。
対し、ヘルハルトは闘争心に突き動かされるように、いや、闘争心の疼きを全身で表現するかのように、全ての腕を大きく広げた。
胸が疼きが色を持ったかのように赤く輝き、その輝きが腕に伝わる。
そしてヘルハルトはその赤い色をすべての手から放った。
爆発魔法を体内に抱えたトビウオの群れが一斉にデュランに襲いかかる。
が、デュランは迎撃する素振りを見せなかった。
自分が何かする必要は無いことが感じ取れていたからだ。
直後、それはデュランを追い越して前へ飛び現れた。
数多くの鷹(タカ)の精霊であった。
後方から追いかけてきているシャロンが放った精霊であり、その体の中に爆発魔法が抱えられているのが透けて見えた。
そして鷹の群れはトビウオの群れの前で弾けた。
鷹の体を内部から突き破って赤い槍が伸び放たれる。
トビウオの群れに突き刺さり、紅い爆炎となって全てを吹き飛ばす。
花火の連発のような連鎖爆発が起き、衝撃波がデュランの体を圧迫する。
その押しつぶされるような感覚にデュランは足を止めずに抗ったが、背中にいた戦士長は耐えられなかった。
折りたたまれるように潰される。
だが問題は無かった。この後やることを考えれば、むしろ都合が良かった。
衝撃波で動きが鈍ったところを狙って、ヘルハルトの腹の口が赤く開く。
が、この対処がやることでは無い。その必要は無いことが感じ取れていた。
直後にデュランを追い越して前に立ったのは、キーラが放った熊の精霊。
ヘルハルトの腹の口から噴出された炎をすべてその体で受け止める。
そして熊は熱で溶かされたように、デュランに浴びせるように飛び散った。
しかしそれは熱にやられたのでは無く、予定されていた変形であった。
熊だった液体が、潰れた戦士長の体に吸収されていく。
そして一つになりながら体の上を這い、デュランの大剣に巻き付いていく。
巻き付くごとに液体の動きは硬くなり、布のような質感に変わっていった。
そしてデュランは刀身全体が覆われたのを見てから、魔力を勢いよく流し込んだ。
大剣から放たれる光が強まり、その輝きは白から銀色に。
その変化と同時に、巻き付いていた布は回転を始めた。
回転は加速し、十分な速度に達したのを見てからデュランは口を開いた。
“「シャイニングシュラウドッ、」”
戦士長の声も重なっていた。
その巨体にでかい風穴を開けてやる! そんな思いが含まれていた。
対し、ヘルハルトも同じ構えであった。
一本に束ねた巨大な剣を水平に構え、渦巻かせている。
そしてヘルハルトも同じように思いを含ませながら響かせた。
“バーンシュラウドッ、”
やってみせてみろ、できるものならば! と。
ならばあとはぶつかり合うだけ。
だからデュランとヘルハルトは引き寄せ合う磁石のように同時に地を蹴り、
““「スピアァッ!!!」””
叫びと共にぶつかり合った。
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