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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十五話 愛を讃えよ(26)
しおりを挟む(これは、この技は!)
デュランが心の中で叫ぶ。
その言葉に対し、サイラスは思念を響かせた。
(これが何か知っているのか!)
高速演算の速度をデュランに合わせ、早口に聞こえないように尋ねる。
デュランは即座に答えた。
それは言葉では無く、断片的な画像や映像であった。
サイラスがそれらを読み取り始めた直後、アゼルフスの声が再び響いた。
“我は焦がれ、思い描く。戦士達が辿り着いた天上の楽園を”
その言葉と共に、異形と化したアゼルフスの大剣はさらに変化した。
腫瘍が次々と割れ裂け、中から人の形をしたものが飛び出す。
さらに、見えない部分も変化していることをサイラスは感じ取っていた。
アゼルフスの心から発せられる感情が、思念が言葉と共に変わっている。
その理由はデュランから渡された情報の中にあった。
この詠唱は自己洗脳のためのものであると。
言葉と共に己の心を組み替え、感情を切り替えているのだと。
無論それは、これから放つ大技のため。
そして直後、デュランからの情報を読み切ったサイラスは声を上げた。
(デュラン、それにこの機能を組み込め!)
それとは、デュランが作成中のドラゴンのことであった。
直後、
“されど基へ至る道は白き地獄。彷徨える戦士達が血を散らし続ける戦場なり”
アゼルフスの言葉が響いた。
異形の大剣がさらに膨らみ、腫瘍の数を増す。
もはや巨大なぶどうと呼べるほどに、それは変じていた。
デュランからの情報通りの変化。
ならば、残り時間は少ない。
間に合うか、そんな思いをサイラスが漏らした直後、
“そして汝らは知るだろう。戦士達の勇猛さを。その力強さを”
変化は最終段階に入った。
巨大なぶどうの実にヒビが入り、割れ目から白い煙が漏れ出し始める。
もう時間が無い! そんな焦りをサイラスが抱いた直後であった。
ドラゴンは完成し、アゼルフスが最後の言葉を響かせた。
“アル・バーダ・エリシオン!”
白き楽園への道、を意味する古い言葉を響かせながらアゼルフスは異形の大剣を振り下ろし、地面に叩きつけた。
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