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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十五話 愛を讃えよ(19)
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それはデュランの声だった。
何を使えというのか、それはもう見えていた。飛んできていた。
全力で投げられたと見える棒状のそれは、サイラスを切り裂くような勢いで回転しながら飛んできていた。
サイラスは自ら切られに行こうとするかのように地を蹴ったが、
(……っ!!)
行かせまいと、絨毯から伸びた赤い触手が体にからみついた。
草木から身を守るために羽織っているローブが一瞬で燃え上がる。
そして炎はすぐにローブの下に着込んだ皮の鎧を食い始めた。
焼けこげる匂いが鼻をつき、熱による痛みが皮膚に浸透して広がっていく。
その痛みの中でもサイラスの視線は揺るがなかった。
飛んでくるものを凝視したまま、手を伸ばす。
回転の軌道は完全に目で追えていた。
痛みによって集中力が研ぎ澄まされていた。
研ぎ澄まされすぎているせいか、痛みが鈍くなっている。
鋭いが鈍い、そんな矛盾したような感覚になっている。
サイラスはその奇妙な感覚の中で手を伸ばし、それを掴んだ。
木々の隙間から差し込む光が、その手に掴んだものが剣であることを影絵として浮き上がらせる。
サイラスは即座にその刀身に魔力を流し込んだ。
影を払うように、刀身が光に包まれる。
そして明らかになったその姿は、シャロンの宝石剣であった。
サイラスを覆いつくしつつある赤色を染め返すように銀色の光が広がる。
それは比喩では無かった。
注がれた魔力は銀色の雷となって剣先から伸びていた。
目ではとらえられない速さで波打つように暴れている。
それを見た瞬間、サイラスの中で認識が変わった。
この剣は危険だ、と。
その危険度は既に背後から覆いかぶさっている赤色を凌駕していた。
使い方を誤れば即座に自滅する剣。
ゆえに、
「雄雄ォォッ!」
サイラスは自然と叫んでいた。
危険なものを扱う恐怖を気勢でねじ伏せながら、赤色に向かってそれを振り下ろした。
そして起きた現象はまさに雷のものとそっくりであった。
サイラスの真後ろに落雷が起きた、感知能力も高速演算もできない普通の人間にはそうとしか見えない現象が起きた。
落雷にしか聞こえない炸裂音と共に、赤色はすべて吹き飛ばされた。
サイラスも例外では無かった。
吹き飛ばされ、地面の上を転がる。
すぐにサイラスは転がることに意味が無い事に気づいた。
炎に酸素を送り込めばより激しくなる、優れた感知能力者ならばみな知っていることだ。
だからサイラスはすぐに受け身を取り、燃えているローブを投げ捨てた。
直後に追いついたデュランがサイラスを庇うように前に立つ。
(助かった)という心の声を背に送りながら、サイラスは火がついている皮の鎧も脱いだ。
デュランがアゼルフスをけん制するように大剣を構えながら(大丈夫か?)と問うと、(問題無い。戦える)という声が即座に帰ってきた。
その答えを聞いたデュランは、今度はアゼルフスに向かって問うた。
「我が名はデュラン! アゼルフスとやら、この名前に覚えは無いか?!」
何を使えというのか、それはもう見えていた。飛んできていた。
全力で投げられたと見える棒状のそれは、サイラスを切り裂くような勢いで回転しながら飛んできていた。
サイラスは自ら切られに行こうとするかのように地を蹴ったが、
(……っ!!)
行かせまいと、絨毯から伸びた赤い触手が体にからみついた。
草木から身を守るために羽織っているローブが一瞬で燃え上がる。
そして炎はすぐにローブの下に着込んだ皮の鎧を食い始めた。
焼けこげる匂いが鼻をつき、熱による痛みが皮膚に浸透して広がっていく。
その痛みの中でもサイラスの視線は揺るがなかった。
飛んでくるものを凝視したまま、手を伸ばす。
回転の軌道は完全に目で追えていた。
痛みによって集中力が研ぎ澄まされていた。
研ぎ澄まされすぎているせいか、痛みが鈍くなっている。
鋭いが鈍い、そんな矛盾したような感覚になっている。
サイラスはその奇妙な感覚の中で手を伸ばし、それを掴んだ。
木々の隙間から差し込む光が、その手に掴んだものが剣であることを影絵として浮き上がらせる。
サイラスは即座にその刀身に魔力を流し込んだ。
影を払うように、刀身が光に包まれる。
そして明らかになったその姿は、シャロンの宝石剣であった。
サイラスを覆いつくしつつある赤色を染め返すように銀色の光が広がる。
それは比喩では無かった。
注がれた魔力は銀色の雷となって剣先から伸びていた。
目ではとらえられない速さで波打つように暴れている。
それを見た瞬間、サイラスの中で認識が変わった。
この剣は危険だ、と。
その危険度は既に背後から覆いかぶさっている赤色を凌駕していた。
使い方を誤れば即座に自滅する剣。
ゆえに、
「雄雄ォォッ!」
サイラスは自然と叫んでいた。
危険なものを扱う恐怖を気勢でねじ伏せながら、赤色に向かってそれを振り下ろした。
そして起きた現象はまさに雷のものとそっくりであった。
サイラスの真後ろに落雷が起きた、感知能力も高速演算もできない普通の人間にはそうとしか見えない現象が起きた。
落雷にしか聞こえない炸裂音と共に、赤色はすべて吹き飛ばされた。
サイラスも例外では無かった。
吹き飛ばされ、地面の上を転がる。
すぐにサイラスは転がることに意味が無い事に気づいた。
炎に酸素を送り込めばより激しくなる、優れた感知能力者ならばみな知っていることだ。
だからサイラスはすぐに受け身を取り、燃えているローブを投げ捨てた。
直後に追いついたデュランがサイラスを庇うように前に立つ。
(助かった)という心の声を背に送りながら、サイラスは火がついている皮の鎧も脱いだ。
デュランがアゼルフスをけん制するように大剣を構えながら(大丈夫か?)と問うと、(問題無い。戦える)という声が即座に帰ってきた。
その答えを聞いたデュランは、今度はアゼルフスに向かって問うた。
「我が名はデュラン! アゼルフスとやら、この名前に覚えは無いか?!」
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