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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十五話 愛を讃えよ(13)

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   ◆◆◆

 三頭の巨大ドラゴンが味方と森を吹き飛ばしながら近づいてくる。
 それをヘルハルトは焦燥感と共に見つめていた。
 ヘルハルトはその焦燥のままに思念を響かせた。

“早くしてくれ! 仲間が全滅してしまう!”

 これに、クトゥグアは答えた。

“君は自分が総大将であることをもう少し自覚したまえ”

 そう言って釘を刺しながら、クトゥグアは続けて理由を述べた。

“敵の様子を見ながら、戦況と戦力の変化に対応するのは基本中の基本だ。今の装備のままで巨大ドラゴン三頭の前に立てば君は確実に負けるぞ”

 それは正しい意見であったが、ヘルハルトは苛立ちながら声を上げた。

“それはさっきも聞いた! だからもっと早くできないのかと聞いてるんだ!”

 荒ぶったその声に対し、クトゥグアは先と同じ淡々とした調子の声で即答した。

“無理だ。これ以上は早くできない”

 そんな返事は聞きたくないと、ヘルハルトは声をますます荒げそうになったが、

“では、私が前に出ましょう”

 ヘルハルトの護衛として配置されている炎の戦士の一人が声を割り込ませた。
 ヘルハルトが見下ろすように意識を下に向けると、その戦士はヘルハルトを見上げながら再び思念を響かせた。

“私ならば他の戦士達よりも少しは善戦できるでしょう。味方の被害をおさえつつ、時間を稼げるかと”

 言葉の根拠は見た目だけでわかった。
 前線に出ている炎の戦士達よりも倍以上の体格を有している。
 総大将を護衛するための特別製であることが一目でわかる大きさ。
 そしてその大きな戦士はその場にひざまずき、懇願した。

“しかしそのためには、ここの守りを離れることのお許しを頂かなければなりません”

 これにヘルハルトは即答した。

“許可する! 動けぬ私のかわりに行ってくれ!”

 ヘルハルトの言葉が響き終わってから戦士は立ち上がり、そして応えた。

“この身を賭すに値するご命令、しかと引き受けました”

 そう言って戦士はヘルハルトに背を向け、爆発するようにその身を燃え上がらせながら飛び立っていった。
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