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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む

第二十五話 愛を讃えよ(10)

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 ルイスの声に従い、中央の部隊が前進を開始、精霊使い達が新たな二頭の巨大ドラゴンの製作にとりかかる。
 が、森の中にいる左右の部隊の反応は鈍かった。
 中央の部隊の前進に対して、亀のように遅い。
 その原因は悲鳴と共に伝わってきていた。
 木という遮蔽物が多いため銃で仕留めきれず、接近戦に持ち込まれている。
 そして近づかれたらどうなるかは、

「うああああぁぁあっ!」

 兵士の絶叫と共に示されていた。
 抱きつかれ、火だるまにされるのだ。
 剣での迎撃は困難。
 脳に該当する部分を適切に破壊しなければ、たとえ真っ二つにしたとしても組み付かれる。
 ゆえに相討ちにすることすら難しい。
 が、そんな相手であっても、ベアトリスは上手く立ち回っていた。
 木を上手く盾にしつつ、炎の戦士の突進を横に跳んで回避する。
 その突進の速さに対し、ベアトリスは冷や汗を浮かべていたが、

(速い! でも直線だけ! 旋回と急制動は私のほうが勝ってる!)

 ベアトリスは敵の機動力を既に見切りつつあった。
 次々と迫る炎の戦士達の体当たりを回避しながら、蝶による反撃を試みる。
 が、

(やっぱり私の蝶じゃ攻撃が通らない!)

 結果は予想通りであった。
 やはりこれを使うしかないと、槍を握る手に力をこめる。
 それでも近接戦闘は最後の手段。
 ゆえにベアトリスの脳裏にあるイメージは光の嵐。
 しかしこれは動作が重い。
 だから慎重に――そんな思いが脳裏を走った直後、好機は訪れた。

(!! 狙える?!)

 炎の戦士が急加速と共に突っ込んできたのだ。
 この加速ならば反転に時間がかかる。ならば好機! そう思ったのと同時にベアトリスは動いた。
 防御魔法を展開し、その光の傘で叩き払うように突進を受け流す。
 その受け流しは体の向きを変えるための回転動作でもあった。
 受け流しつつ、すれ違った炎の戦士のほうに向き直り、その背中に照準を合わせる。
 炎の戦士は慌てて急停止の動作に入ったが、それはベアトリスからすれば狙いを定めやすくするために止まってくれたようなものであった。
 だからベアトリスは余裕を持って叫んだ。

(食らえ!)

 槍を突き出し、防御魔法の中心を貫く。
 光の傘が槍を中心に回転を始め、歪みながら収束していく。
 その収束は一秒足らずで限界を迎え、そして弾けた。
 三日月型の光の刃が花火のように勢いよくあふれ出す。
 回転の勢いが残っているため、光の刃は渦の形に変化。
 光の刃同士が引き合い、混ざり合うため、渦の形状は歪。
 しかし渦はそれでも真っすぐに進み、炎の戦士を飲み込んだ。
 完璧な直撃。だが、即死には至らない。
 炎の戦士も精霊らしく光魔法に対しての抵抗値が高い。光魔法が当たっても押されるのみ。
 だが、光の刃は激しく振動している。
 ゆえに光の渦は炎の戦士の体を削りながら森の奥へと押し込んでいった。
 炎の戦士が渦の中から脱出しようともがく。
 だが手遅れだった。既に木が真後ろであった。
 炎の戦士は光の渦に飲み込まれたまま木に叩きつけられ、

「―――!」

 濁流と共に炸裂霧散した。
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