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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(65)
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ルイス達は追撃戦でも大きな戦果を上げた。
ヨグ=ソトースは部隊を少しずつ切り離し、時間稼ぎとして利用しながら撤退したからだ。
ルイス達が疲れて足を止める頃には、アザトースは原型がわからなくなるほどの有様となっていた。
決着はヨグ=ソトースの本拠地である神の木で。そしてそれはこちらの勝利で終わるだろう、ルイスはそう思っていた。
だが違った。
ルイス達が足を止めてしばらく後、先頭を進むヨグ=ソトースの前に正体不明の部隊が現れた。
それを指揮する者が誰なのか、ヨグ=ソトースは察しがついていた。
ゆえにヨグ=ソトースは指揮官らしき女に向かってその名を響かせた。
「漁夫の利狙いの襲撃とはご立派なことだな、クトゥグア」
この言葉に対し、クトゥグアはつまらない、ナンセンスだとでも言うかのように、立てた人差し指を左右に揺らしながら口を開いた。
「なに馬鹿なことを言っているんだ? 漁夫の利に死体蹴り、そして足の引っ張り合いなんて、私達の世界じゃやらないほうが馬鹿と呼ばれるくらいに常識だろう? 私はその常識に基づいて行動しているだけさ」
その台詞を聞きながらヨグ=ソトースは部隊に命令を出した。
大神官の肉体を逃がせ、撤退路を確保しろと。
そのために出来るだけ会話を長引かせて時間を稼がなくては、そう考えたヨグ=ソトースは続けて尋ねた。
「漁夫の利を狙うのであれば、なぜ我々なのだ? 我々が戦闘している隙に人類を背後から狙おうなどとは考えなかったのか?」
これにクトゥグアは少し悩ましそうな表情で答えた。
「うーん、私はそれでも良かったんだがねえ。でもそれじゃあ、あなた達が人類に勝利した場合、あなた達の足を引っ張ることが難しくなる可能性があるって、相棒に注意されちゃってね」
この言葉で共謀者がいることが明らかになった。十中八九、ナイアラだろう。
ヨグーソトースは話を長引かせるために、ナイアラについて尋ねようとした。
が、クトゥグアは「パン」と両手を合わせ、その音で話を切って口を開いた。
「はい、おしゃべりはこれでおしまい。それでは、おいしくて気持ちがいい、漁夫の利と死体蹴りを始めさせてもらうぞ」
手を合わせた音とその言葉を合図に、クトゥグアの背後で何かが動き始めたのをヨグーソトースは感じ取った。
まるで森そのものが動き出したような感覚。
統率している肉体は一つだけに感じられる。
これほど巨大な精霊の維持は一つの肉体では不可能。
だが、精霊使いらしき人間の気配の数も規模に対して少なく思える。
しかし現実に森のような精霊の気配は遠く後方にまで広がって続いている。
どうやって維持している?
その答えは上空にいる偵察用の目玉からの報告によってすぐに明らかになった。
気配を詳細に分析した結果、『下手くそな蜘蛛が作った巣のように線が繋がって広がっている』と。
なぜそうしているのかはすぐに予想できた。
精霊の木を線で結んでいるのだ。
だから下手くそな蜘蛛の巣のように見えるのだ。
このヨグ=ソトースの予想は正解であった。
が、今の状況を打開する手助けにはならない。
何か打てる手を探さなくては――ヨグ=ソトースは全力で思考を走らせた。
が、直後、クトゥグアは無慈悲に声を上げた。
「総員、突撃だ! こいつらを蹴散らし、奪いつくせ!」
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